憧れの舞台、EVO初参戦を果たしたはつめ EVOとは一体何だったのか(前編)

7月にラスベガスで開催されたアメリカ最大級の格闘ゲーム大会「Evolution Championship Series(以下「EVO」)」。
SHIBUYA GAMEでは、今年EVOに初参戦を果たした女性プロゲーマーはつめ(@hatsumememe)へのインタビューを行った。

EVO参戦前、先輩ゲーマー達のもとを訪れて取材を通してその心得を学んだはつめ。
彼女にとって初めてのEVOとは何だったのか?そしてそこで何を感じたのか?
SHIBUYA GAMEの取材に答える彼女の言葉と眼差しからは、短い期間ながらも貴重な経験を通じて自信を深め、明確なビジョンで未来を見据える揺るぎない思いを感じることができた。

ロングインタビューの前編をお届けする。

 

―初海外どうでしたか?
飛行機がきつかった…。
MOVさん達と3人で行ったんですけど、MOVさんが「ほら、ここでパスポート出すんだよ」とか「まだパスポート使うからね」とか完全に引率の先生をやってくれて。
まだ韓国とかなら2・3時間で着くじゃないですか。今回私乗り継ぎがデンバーだったんですけど、日本からデンバーまでが12時間くらいかかるんですよね。
寝ても寝ても海の上にいて。陸地が見えない…これ死んじゃうんじゃないかと思うくらい飛行機がきつかったです。時計見ても1時間とかしか経ってなくて、あと10時間なにしてればいいんだ。って。

―機内で映画とかは観ましたか?
『ミスペレグリンと奇妙なこどもたち』を観ました。ティムバートンの。面白かった!
帰りは『ファンタスティック・ビースト(と魔法使いの旅)』を観ようとして全部寝てました(笑)。
起きたらあと一時間で日本着いちゃう、みたいな。

―脱線しますが、映画は好きなんですか?
結構好きですね。一緒にゲームしているチームメイトがみんな映画好きなので。
うちの近くにTSUTAYAがあるんですけど、チームメイトとTSUTAYAに行って2年くらいは手に取られてなさそうなくだらない映画を借りて、うちで観るっていうのが流行っていた時期があります。

―ちなみにもっともくだらなかった映画はなんですか?
『タッカーとデイル(史上最悪にツイてないヤツら)』ですね。
なぜかみんな死んじゃう映画です。終始真顔で観ました(笑)。
アメリカのアニメ映画で『ソーセージパーティ』ってあるんですけど、それとかもくだらなくて面白いです。

―ちょっと探してみます(笑)。話を戻しますが、ラスベガスに着いてから大会までの間はなにをしていたんですか?
初日は相当疲れていて、一緒に行った3人とご飯を食べに行って、そのあと現地に到着した人たちと合流して話したりして、すぐ寝ちゃいました。
次の日は起きて、たぬかなさんとかふ~どさんとかとプールにいきました。
たぬかなさんの水着の写真をツイッターにアップしたおかげで、一晩でフォロワーが500人くらい増えました(笑)。
EVO行って帰ってきたらフォロワーが1,000人くらい増えていて…たぬかなさん本当にありがとうございます。
あとは参加者向けのパス貰いに行ったり、ご飯食べたりして終わりました。
大会前日はさすがにゲームしたくて。部屋でプレステやったり、現地勢でLINEグループを作って情報交換をしてたんですけど、それで対戦部屋情報をキャッチして行ってみたりしました。

―充実した時間を過ごせたんですね。
はい。ただ胃が相当痛かったです。
試合が怖いのか、ラスベガスの食べ物が重すぎたのか分からないですが。
初日はハンバーガー食べて2日目はピザ食べたんですけどその時点ですでに胃もたれしていて「あ、まずい」って。
あのまま食べ続けていたらやばかったと思います。

―EVO参戦前に「はつめ、EVOに行くってよ」で先輩たちにお話しを聞いて行かれましたが、実際どうでしたか?
想像よりはるかに楽しかったです。
そもそも海外に行くってことが不安だったんです。でも行ってみたら5分歩けば誰か知り合いに会うし、みんな気さくに話してくれたりしました。
会場に行くと、前にふ~どさんが「EVOはお祭り」って言ってたと思うんですけど、まさに!って感じで。会場にダンスダンスレボリューションが置いてあったり、物販があって一部だけコミケみたくなってたりしてました。

鉄拳のSAINT選手とJDCR選手がデバイスのブースにいたり、GRAPHTのブースに有名な選手がいたりとかしたんですけど、個人的には部活のインターハイとか大きい大会みたいだなと思いました。私ずっと陸上部だったんですけど、大会の時って競技場の端っこに各学校ごとのブルーシートがあって、そこで選手がウォーミングアップしたりしてるんですよね。
有名な選手がいると、「あ、●●さんいるよ」とか見に来たりするんですけど、それに近いものを感じました。
そのときに、「あ、わたし選手なんだ。今から戦うんだ」って実感しました。

あとは、MOVさんが言っていた「最大公約数の動き」?悪く言えば「雑魚狩りムーブ」ってあったじゃないですか。
事前に下調べはある程度していたんですけど、思ってもみないところで負けてしまったり、想定外の人が勝ち上がってきたり、やっぱりそのときになってみないと分からなくて。
私のプールは有名な人こそいなかったんですが、レベルの幅が広いプールだったと思います。コマンド出すのもやっとっていう人もいれば、よくわからない技を使ってくる人もいて。
そのときに「雑魚狩りムーブ」は本当に大切だったんだなぁって思いました。
誰にでも勝てるような動きをしなければいけないって。
私は普段ポイント低い人にいわゆる「くそムーブ」をしたりしないんですけど、そのときに限っては“いい子”でいることが自分の首を絞めてしまうなって思って、くそみたいな動きしたりとかしましたね。

―初戦はすごく緊張しているように見えたのですが、いかがでしたか?
ガチガチでしたよ。一戦目が本当に集中できていなくて。
初戦の相手が、対空上が出る人だったのになぜか上ばっかりから攻めてて。
自分でも試合中に気付いたんですけど、気付いていてもちゃんと意識していないと勝手に飛んじゃうんですよ。
緊張ゆえに自分の意思をコントロールしきれていなくて。

格ゲー用語に「心量」っていう言葉があって、「大会で心量が足りなかった」とか自分の心が強くなかったときに使ったりするんですけど、一戦目に関してはまさに心量が足りなかったな、って思います。
私前から大会のときに緊張しすぎて、手が動かなくなっちゃったりするんですけど、今までずっと自分が課題にしていて、なあなあにしてきたことが出ちゃったと思うとすごく悔しかったです。

―初戦敗退後、ルーザーズラウンドを勝ち上がって2日目のRound2へ進出したわけですが、すぐに気持ちを切り替えられましたか?
やっぱり、大口たたいて日本から来てしまった以上ここで負けられないや、と思って次に挑みました。
事前に、あるコミュニティで「私、負けたらラスベガスに住むわ」って宣言してて、「負けたら本当に住めよ」って脅されていたこともあって(笑)。
でも、ルーザーズのプールを抜けられないだろうって思われていた人がプール抜けられたから、結果的にいろんな人が「あれ?すごくない?」って言ってくれて、かつ自分の中でも一つ大きくなれた気がするから、あとあと考えると、良い経験だったかなと思います。
負けず嫌いな部分が出ましたね。(笑)

 

―MOVさんがセコンドについてはつめさんにアドバイスをしたり、緊張をほぐしたりしている様子がとても印象的でした。
初戦は「相手上出るから上から行っちゃだめだよ」って言われて、分かっているのに飛んでしまっていたから、一戦目が終わった瞬間に「どうしよう、上とんじゃう。。」とか話してました。
MOVさんはゲームの基礎的なことを教えてくれていたので、私にとって師匠なんですよ。
師匠に見られると逆に緊張しちゃうわけですよ(笑)。
MOVさんは普段見てないふりをしているけど、私の試合をよく見ていてくれてて。
今まで「対空出てなさすぎ」ってずっと言われてたんですけど、終わったあとに「ルーザーズ落ちてから対空全部出てたよ」って言ってもらえてだいぶ嬉しかったですね。

―試合中にノートを持ち歩いていましたよね?何が書いてあったんですか?
あれは、キャミ―対各キャラのキャミ―が確定反撃を取れる技と、その技のマイナスフレームを書いてました。
確定反撃ってキャラ対策の基本的な部分なんですよ。各キャラごと、距離ごとに違ったり、弱・中・強ごとにフレームが違ったり。
規則性があって、確定反撃を返せるのと返せないのだとだいぶ違うんですよ。ちゃんとお仕置きできるところでお仕置きしないと相手に好き勝手やられてしまうから。

なので、技の名前とかボイスの種類とかモーションとか基本的なものを書いたりもしていました。
試合直前に見て、即全部対応できるかって言われたらそれはできないんですけど、忘れてた部分とか普段できるところは「このキャラのこれはちゃんと返せるからこれだけ返そう」っていうのとかを直前に見ていました。
あとは、「これだけ調べもの頑張って、練習もしたし大丈夫っしょ」っていうある意味おまじないみたいなところもありますね。

 

憧れの舞台に、たしかに足跡を刻んだはつめ。
大会2日目以降について、そして次なる目標について彼女が語ったインタビュー後編は近日公開。

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