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関西におけるeスポーツシーンの現状とは?現役大学生ながら株式会社PACkageを設立した元プロ「山口勇」氏に聞いた

eスポーツコミュニティ成長の鍵は「大学生」

――山口さんが関西地方で注目しているeスポーツコミュニティはどこでしょうか?

山口 やはり大学ですね。CEDEC 2018(※)でもお話させて頂きましたが、大学のeスポーツチームが物凄い勢いで増えているんです。

※CEDEC:「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス」の略称。山口氏は同カンファレンスで、自身の取り組みやeスポーツ関連企業に求められていることについて語った。

『League of Legends』(以下『LoL』)の1タイトルに絞って見ても、私の通っている大阪電気通信大学では70名超のメンバーを抱えるサークルに成長しています。他の大学においても、数十名規模のサークルは多く見られます。つまり、大学生のeスポーツシーンが盛り上がり始めているのです。
今後は他のタイトルでも規模が拡大しそうな流れもあります。具体的には、『CoD』や『R6S』といったタイトルを扱うサークルも増えてきていますね。

一昨年あたりに発足したサークルが多くて、初期メンバーは5名くらいしか居なかったのに、今では100名近くに達しているところもあります。
おそらく、『LoL』をはじめとしたPCゲームのサークルができたおかげで、PCゲームを楽しむメンバーが集まりやすくなったんだと思います。そのお陰で『R6S』や『PLAYERUNKOWN’S BATTLEGROUNDS』、『CoD』などをプレイしている人たちがコミュニティを形成し、複数のタイトルを扱う「マルチゲーミングサークル」へと成長している、というような状態です。

――大学と言えば、オープンキャンパスでもeスポーツイベントが開かれるようになりましたよね。

山口 そうですね。大阪電気通信大学でもオープンキャンパスで『LoL』のデモイベントをやらせてもらいました。オープンキャンパスを含めて、様々なイベントを通して大学全体でeスポーツに取り組み始めた所が多いようです。

私たちのイベントは月に1回程度オフラインで開催していますが、参加者数は大体3チーム、計50名ぐらい。主催者である我々が大学生ということもあって、参加者の半分以上は大学生ですね。
逆にeスポーツカフェやインターネットカフェなどのお店へ目を向けると、30代~40代あたりの人たちが、20~30人規模でイベントを開いたりしています。特にインターネットカフェは面白くて、仮眠をとるスペースの横がeスポーツブースになっていて、そこで「いえーい!」と盛り上がってプレイしていますね(笑)。

インターネットカフェも独自の進化を遂げていて、面白いです。

――そういった状況の中で、eスポーツシーンの更なる発展に必要なキーポイントって何だと考えていますか?

山口 私が一番望んでいるのは、「IP(※)の使用に関するライセンスの明記」です。『R6S』のような海外製のゲームの場合、ライセンス表記の多くは英語ページに乗っているんですよ。「イベントでゲームを使う際はこのように扱ってくださいね」とか。そういったものが日本のホームページににもあれば、eスポーツシーンは今後より一層発展すると思います。

※IP:intellectual property=知的財産

というのも、現状ではIP使用の許諾を取らずに大会を開催しているケースが結構多いんです。私たちコミュニティ側からすると、大会が開催されるのは喜ばしいのですが、ゲーム会社からするとあまり嬉しくない。つまり健全ではない状態なんです。

IP使用の問題が解決されれば、今後イベントを運営する側も安心できます。『オーバーウォッチ』のBlizzard Entertainmentのように、大会開催時における応募フォームやチーム登録フォームがあると、パブリッシャーと共同でコミュニティ大会が開きやすくなります。そうしたところをひとつのキーポイントとして捉えていますね。

目指せ京セラドーム!選手が輝けるeスポーツイベントを作りたい

――PACkageで今後拡大したい事業内容はありますか?

山口 eスポーツイベントはとことんやっていきたいですね。大阪で一番大きい会場を借りたいとは思っていて……。「目指せ京セラドーム」ですね!

大阪万博が開かれるかは分かりませんが、その時までに大きなeスポーツイベントが大阪で開催できれば凄く嬉しいです。生まれ育ちもずっと大阪なので、「大阪でイベントを開くこと」には結構こだわっていますね。

――関西からeスポーツイベントを盛り上げる形ですね。

山口 そうですね。ゲーミングチームの目立つ場所って大会じゃないですか。eスポーツ大会で優勝を目指して活動する姿がカッコイイ。

もちろん、私たちのプロチームの選手がプロリーグなどで優勝する姿を見たいですが、それとは別で「プロリーグやコミュニティ大会を中心に選手たちが輝ける場所を作っていきたい」というのが我々PACkageの一番の思いです。

――気になったのですが、そのバイタリティはどこから溢れ出てくるのでしょうか?

山口 昔からゲームが本当に好きで、小学生の頃からゲームクリエイターになりたいという夢を持っていました。でもいつのまにかゲームを作るよりもプレイする方の比重が大きくなって……。

ただプレイする方も楽しかったのですが、人の喜んでいる場面を見る方が楽しくなっちゃって。他の人たちが喜んでいる姿をもっと見たいと思った時に「イベントをやろう」と思いました。配信を見て喜ぶ視聴者のコメントも見ていたい。
そして、より多くの人に選手のことを知ってもらいたいし、前向きな意見をどんどん増やしていきたい、というのが自分のモチベーションの根本ですかね。

本当にイベントを開催した時は最高でしたからね。今では笑い話ですが、イベント当日はPACkage社員の弁当を会場に置いていたんです。でも私は忙しくて食べれなかったんですよ。そして帰るときに「そういえば弁当はどうしたっけ?」と話をしたら、スタッフの人たちが「食べないのかと思って全部食べました」って(笑)。

それくらい忙しくて色々と大変でしたが、その価値はありますね。オフラインって観客が喜んでいる姿を直に見れるので。

――オフラインならではの醍醐味ですね!少し意地悪な質問ですが、今「選手に戻っていいよ」と言われたら戻ってみたいですか?

山口 難しいなあ(笑)。その問題は引退するかどうか決めるときに悩みました。野良連合のCS(家庭用ゲーム機)部門が無くなった時に別チームへ行くという選択肢があったんですけど、凄く考えましたね。

でも、プレイしている時は確かに熱中して楽しいんですけど、試合を一歩下がって見ている時の方が幸せな感覚が強かったんです。「じゃあこっち(運営側)だな」って決めたところですね。

選手活動もできるなら続けてみたいですけど、そんなに甘い世界じゃないっていう(笑)。

――ぜひ、選手として活躍している姿をもう一度見てみたいですが……(笑)。では、「京セラ」をさらに超えた、人生の大きな野望はありますか?

山口 大きな野望ですか?野望というか……先ほど「京セラドーム」と言いましたが、もっと大きなところで言うと、eスポーツの世界大会を大阪で開催したいですね。

東京で『R6S』のアジア大会(世界大会の予選)が開かれますが、大阪では予選ではなく世界大会の決勝を開催したいですね。それを目標に、生涯現役で頑張りたいと思います!

――私も陰ながら応援させて頂きます。本日はどうもありがとうございました!

 

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TatsutaYuki

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8bitと16bitに想いを馳せるフリーライター。そしてハードやユーザーと共に変遷するゲーム文化に目がない好事家。eスポーツを文化論の見地からざっくりオモシロく読み解く。

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