「eスポーツ先進国を真似るだけでは国内市場は伸びない」JeSU 岡村会長が語る日本のこれから

2017年時点で、世界のeスポーツ業界における日本の市場規模は1%にも満たない――。

この数字だけを見ると、eスポーツ市場において日本が大きく遅れを取っているように思われるかもしれません。しかし見方を変えれば、日本のeスポーツ市場には更なる成長の可能性が秘められているとも言えます。

2018年11月9日(金)に台湾・高雄市にて国際eスポーツ連盟(IeSF)が開催したフォーラムで「日本のeスポーツシーンが成長する準備は整った」と語ったのは、日本eスポーツ連合(JeSU)会長の岡村秀樹氏でした。

IeSFが主催した世界大会「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」に先駆けて行われた本フォーラムには、40近くもの国からeスポーツ団体が集いました。そのような国際的なフォーラムで日本のeスポーツシーン加速を宣言した岡村氏は、日本とグローバルの差をどのように見ているのでしょうか。

今回SHIBUYA GAMEではフォーラムでのプレゼンを受けて、日本のeスポーツシーンのこれからについて岡村氏に直撃インタビューを行いました。

日本が世界に追いつくために必要なこととは?

――国際的なフォーラムに登壇されたというのは、今後グローバル市場をより意識した施策を展開していく、ということでしょうか?

岡村 今までもグローバル市場を意識していなかったという訳ではなかったのですが、JeSUが2018年2月に設立されたばかりということもあり、先に体制を整えることに注力していました。すぐ目の前には「アジア競技大会」や「茨城国体」などの話があったので、まずはそういった場に選手を送り出せる体制作りが先決だったのです。

今後は、世界各国のeスポーツ団体や、eスポーツを発展させようと活動している人達と積極的に交流を持ちたいと考えています。その皮切りがサウジアラビアとの対抗戦ですね。他にも様々なオファーがあるのですが、あれもこれもとやっていたら選手の負担になってしまいます。また、単に国同士の特別マッチで終わらせるのではなく、さらに踏み込んだ国家レベルの取り組みにしていきたいと考えています。

JeSUの存在価値というのは、そのような様々な要素を鑑みて最適な選択をすることだと考えています。

――プレゼンテーションの最後で「台湾ともっと連携を取っていく」とお話されていましたが、一歩踏み込んだ取り組みを目指しているということですね。

岡村 それこそ、対抗戦を行政機関が後押ししてくれるような仕組みを作りたいと考えています。日本で言うと、経済産業省などでしょうか。国と国とで繋がるのであれば、行政が後押ししてくれるという “ステータス” はあった方が良いと思います。

そういった取り組みは、JeSUが営利目的の団体ではないからこそできることでもあるんですよ。営利団体に対して各省庁が後援することはありませんから。儲け云々を抜きにした志の高い大会でないと、日本では行政の支援は受けられません。

――行政からの支援と言えば、台湾は産官学が連携してeスポーツを推進していますよね。まさにJeSUが目指している体制のようにも思えますが、岡村さんの目に台湾のeスポーツシーンはどのように映っていますか?

岡村 台湾では行政を巻き込んで、さらに法律まで制定してeスポーツに取り組んでいますので、日本とは全く異なる環境です。同様の取り組みは韓国や中国でも行われているのですが、海外のeスポーツに対する姿勢は、日本よりも進んでいますよね。

今回のフォーラムでも紹介されていましたが、台湾ではeスポーツ産業を後押しするために、政府が主導してベッティング(賭事)事業への参入を推進しています。消費者の意欲を盛り上げるための仕組み作りに行政を巻き込むことができるというのは、日本と大きく異なる点だなと思います。

とは言え、日本はゲーム大国です。思い切ってアクセルを踏み始めると、一気に加速していく可能性は秘めています。様々なIPホルダーやステークホルダーが一緒になってJeSUが設立されたことも、日本のずっと先を走っていたeスポーツ先進国からすると「日本がとんでもない勢いで追いついてくるぞ」という見方をされているようです。

――日本が他国に追いつき、そして追い抜くためには、具体的にはどのような取り組みが必要になってくるのでしょうか?

岡村 まずは、日本全国に広がるeスポーツインフラを作り上げることが重要だと思います。JeSUが東京にあるだけではダメで、日本各地に支部のようなものが出来れば、日本のeスポーツの足腰はもっと強くなるのではないでしょうか。eスポーツの地盤が固まれば、行政や日本スポーツ協会、オリンピック委員会(JOC、IOC)などの団体から実績を認めてもらえるようになると考えています。

実績があって行政が認めてくれるという形でないと、皆が応援ムードになりませんからね。日本は世界で第3位のGDPを持つ大きな国なので、お金の使い方や行政の取り組み方も異なります。他国で通用することが日本では通用しないという “違い” は、よく理解しないといけません。

――台湾における行政とeスポーツの関係を参考にしつつも、日本らしい取り組み方を見つけていかないといけない、ということですね。

岡村 そうですね。日本らしい取り組み方という点で言うと、内閣府で閣議決定された「骨太方針(※)」にeスポーツの環境を整備するというニュアンスが盛り込まれたのは、非常に画期的な取り組みですよね。今までは行政の後頭部しか見えていなかったような状態でしたが、少しずつこちらを向き始めているのかなと思います。

※2001年から政府が毎年発表する、経済財政に関する基本方針の通称。
eスポーツワールドチャンピオンシップの日本開催はあり得る?
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