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「大人」に訴え続けるeスポーツ業界アナリスト 但木一真が数字にこだわる理由【前編】

1年間で市場規模13倍の成長

――今、発行物を含めeスポーツに関しての諸々情報をご提供いただいている中でも、業界内でものすごく存在感があるのが但木さんが試算された「但木レポート」だと思います。
今回少し掘り下げてみたいのが、2017年から2018年の市場規模推移のレポートです。この市場規模の全体の数字よりも、「13倍の成長」にとてもインパクトを感じました。

――2017年が4億未満から48億超に伸びていますが、この1年間の数字の推移を但木さんご自身はどういう風に捉えられていますか?

但木 私がeスポーツについて調べ始めたのが2017年なので、この約2年で実感として感じたことですが、eスポーツを取り上げるメディアがすごく増えました。そして、チームが増えて大会が増えて、大企業がスポンサーに入りました、っていうのが毎日のようにメディアを騒がせる現象も起こりましたよね。

最たるものは流行語大賞のトップ10に「eスポーツ」という言葉が選ばれるくらいに、もうeスポーツは世の中の人々に広く知れ渡ったと言えます。eスポーツが盛り上がってきていろんな人たちが注目していることが知られ、テレビ番組が始まり一般的な新聞のメディアでも取り上げられてきています。

――なるほど。実際に48億のうち、スポンサー収入が76%を占めてると試算されていますが、このスポンサー収益が1年間で爆発的に伸びたという理解でよろしいですか?

但木 そうですね。例えばテレビ番組が始まったり大会の協賛が増えたり、主に「BtoB」の部分が今最も注目されているところです。

様々な企業さまがeスポーツという新しい分野に投資をして、そこでの自分たちのプレゼンスを高めてみる。まだ物珍しさの領域でもあるのかもしれませんが、eスポーツに入ってみようと試みるのに1番良いのはスポンサーとして入ることです。その結果、みなさんの経済が回り始めたのが2018年なのかなと思います。

――ちなみに、この数字は但木さんの予想を超えていましたか?

但木 超えていましたね。自分で予想していた数字よりも多かったです。何故かと言うと、毎月、毎週、毎日のように、新しい発表が出てくるので。

――賞金なども含まれてこの金額の数字ですが、賞金はまだ9%程度、チケット収益も5%程度ですもんね?うーん……。

但木 なので、先ほど申し上げたとおり「BtoB」に過ぎないといいますか、世の中の方々が興味を持ってくれたところから、まさに「eスポーツ元年」と呼ばれるような年だったなと思います。

これから重要なのは、「eスポーツ」に「BtoC」のビジネスとしてお客さまが付いて、お客さまがお金を払ってくれること。いわゆる興行になっていくかどうかの部分なんです。

例えばチケットの収入や、マーチャンダイズ、放映権。こういったところに実際にユーザーがいて、「ユーザーがお金を払うんだ」となった時に初めて興行の経済圏が出来てくると思います。2018年は興味本位だったところから、2019年以降は実際に本格的に経済が回ることが証明されていくステップなのかなと感じています。

――但木さんから見ても、今年は本当に元年だったと思いますか?

但木 「元年」という言葉の意味を考えると、いろいろこう物議を醸す言葉ではあるので非常に難しいところなのですが。例えば「League of Legends Japan League」ができた時期や、FPS系のゲームタイトルで昔から大会やってましたって人からすると、元年って何?みたいな……(笑)

とはいえ、今年は今までにない爆発をしたのは間違いないです。一部の人だけのものだったeスポーツと呼ばれるものが、「eスポーツって言葉知ってるよ」と認知の拡大に繋がったのが今年だったかなと捉えています。

――それから成長率で見ると2018年から2022年の年平均成長率(CAGR)で19.1%という試算をされています。毎年約20%の大きな成長を続けていくためには、新しい売り上げの立て方がとても大事になってくると思いますが、ここに関して但木さんが最も必要だと思われる要素は何かありますか?

但木 一番大きいのは、興行として成り立つための利益配分のシステムだと思っています。全世界でスポーツ興行と呼ばれるものを見てみると、野球であれバスケであれどんなものでもリーグの興行として全体で収益を上げて、それをチームや選手たちに配分していく仕組みがしっかり出来上がっているように伺えます。

eスポーツの興行でそれが出来ているのかを考えると、まだ完全に出来ているところは少ないと思っています。ライアットゲームズさんやDMM GAMESさんはそういった試みをされていますし、動きはあるんですけど、まだ他のスポーツ興行に比べて本当にチームとしてやっていけるレベルの利益配分にはなっていないのが現状です。

今までは「eスポーツ」という言葉を作っていく動きに近かったのですが、2019年からは興行の仕組みを確実に作っていく時代になっていくのかなと。もちろん、小さめの箱でコミュニティに密着、これからはそれだけじゃなくてパブリッシャー、スポンサー、企業さま、と多くの人たちを巻き込んだ大規模な興行を作り収益を上げて、その収益をいろんな人たちに還元していく仕組みが今一番必要なのかなと認識しています。

ゲームが消費される手段が変わってきた
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みどりむしタマコ

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映画をこよなく愛するひきこもりライター。オンラインゲームの時代に乗り遅れてしまったが、じわじわとオンラインの波に乗っては胸を躍らせている。新参者の視点から見る、eスポーツの世界のおもしろい発見をお届けします。

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