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【OW】長き沈黙は破られた。2019年の幕開け「eSPORTS国際チャレンジカップ」から垣間見えたJUPITERの底力

JUPITERの底力。なぜこれほどまでに強いのか

JUPITERというチームは、日本チームの中でも桁外れに個人技が高い。これは言うまでもないことだ。

フレックスDPSとして名高いAmeken(手前)と圧倒的な攻撃力を誇るゼニヤッタ使いSabagod(奥)

だがしかし「個人技の高いチーム」というのは過去にも多く存在していた。『オーバーウォッチ』シーンを追い続けている方々からすれば、心当たりのあるチームはいくつかあるはずだ。実はJUPITERが最も秀でている能力というのは、正確には『個人技』ではない。『適応力』である。

アップデートで特定のヒーローが強化 or 弱体化されることで、今まで活躍していたプレイヤーが唐突に弱くなってしまうことは往々にしてあることだ。そしてそれが『オーバーウォッチ』の日常でもある。『オーバーウォッチ』は2016年にリリースされたが、本記事執筆時点でアップデート・修正パッチの配信回数は優に50回を超えている。その度に全てのチームは変化を促され、適応できない数々のプレイヤーは淘汰されてきた。

多くのゲーマーが追い求めるだろう「正確なエイム」「視野の広さ」「反射神経の良さ」という能力は一時の強さを示す指針にはなるが、こと『オーバーウォッチ』においてはそれだけでは強さの指標にはなりにくい。状況把握能力、判断力、反射神経、キャラクターの操作能力、ピックプールの広さ、エイムの正確さ、エイムの速さ、忍耐、コミュニケーション能力、情報収集力、分析力、練習量――そういったゲーマーとしての全ての能力を総合した、正に『適応力』ともいうべき能力こそが『オーバーウォッチ』での強さの指標たり得る。

そしてJUPITERはこの『適応力』を大なり小なりメンバー全員が有しているため、全てのメタで安定した強さを発揮できているのである。

現パッチではサポートヒーローのブリギッテを使用しているAmekenだが、彼はかつてゲンジやマクリーなどのDPSをメインに使用していた。またレッキングボールなどのタンクキャラも得意(本人談)。

そしてここからはあるキーマンについて触れていこう。今回の試合において、JUPITERで最も重要なカギを握っていたのは一体誰だったのか?

個人個人が強い特徴を放つJUPITERというチームの中で、最も異彩を放っていた男。

SamuraiD――彼こそが勝利のカギを握るプレイヤーだったのは間違いないだろう。

暴力と忍耐の調和、SamuraiDの真価に注目せよ

事実は小説よりも奇なり――HANAMURAを打開したSamurai魂

第1戦目のマップであるHANAMURA。チャレンジカップの皮切りとなった戦いだが、ここでいきなりSamuraiDのメインタンクが火を吹いた。

Hanamura第2を攻めるJUPITER、防衛に徹するXavier。膠着状態が続いていたが……

完璧とも言えるメインタンクだ。この場面で彼は全ての仕事を完遂したと言える。
分かりやすく箇条書きでSamuraiDの活躍を説明すると……。

①相手のラインハルトのULTであるアースシャターを防ぐことに成功した。
②自分のULTであるアースシャターを複数人に決めることに成功した。
③ULTを放とうとしてる相手のルシオを倒すことに成功した。

ハッキリ言ってこれは異常な活躍である。上記3つのうち1つでも達成すればこの状況下では十分な働きであるのに、その全てを達成するなんてあまりにも非現実的な行いだと言えよう。もし『オーバーウォッチ』の小説や漫画でこんなシーンが描かれてしまったら、あまりにも現実離れしすぎていて “ご都合主義” と揶揄されてしまう。それほどの場面である。正に「事実は小説よりも奇なり」という言葉がぴったりの活躍だ。

彼と対峙しなければならなかったQueEn(Xavier Esportsのメインタンク)には思わず同情してしまう。この時のSamuraiDは絶好調であった。

苦戦を喫した中盤のJUPITER

JUPITERはHANAMURA、Lijiang Towerを先取していく序盤先行型の試合展開となったが、後半にXavier Esportsが追い上げて2-2の同点となった。そうして最後のコントロールマップであるIliosを迎えたわけだが、先ほども言った通り、Patiphanがこのマップにおいて異次元のエイム力を発揮した。

しかしこのコントロールではJUPITERが勝利を収めたのだ。一体何があったのか?

鍵はもちろんSamuraiDにあったのだが、問題のシーンは2つある。

Ruins逆転の一手


Patiphanのウィドウメーカー、THKのファラに苦慮していたJUPITERがどうにか打開したのがこの場面。
PatiphanのウィドウメーカーがSabagodとAmekenを落とすという絶望的な場面だが、ここでULTを持っているSamuraiDが怒涛の猛攻を仕掛ける。

まずはPatiphanに飛ぶことでPatiphanの逃げスキルを使わせ、二の矢でrayuのD.Vaがキッチリと追い詰めてキル。
その間にSamuraiDはTHITIKORNのゼニヤッタを、プライマルレイジを使用して瞬殺。
しかもガーディアンエンジェルを使用しているマーシーに対してもほぼ最高効率でダメージを与えることで、ここでもキル発生。
最終的にはファラすらも瀕死にまで追い詰めることに成功し、後詰めでrayuが再度キルを拾った。

JUPITER側の窮地を救った展開だ。救世主ともいえる働きである。

分断と速攻


そして2つ目のシーンがこれだ。試合も終盤、ここで勝った方がこのマップを取るといった状況で、まさかのPatiphanが先手でルシオとD.Vaをヘッドショットキル。

出典:eSPORTS国際チャレンジカップ

これには流石のJUPITERも万事休すかといった場面ではあったが、D.Vaが死に際に放った自爆によって数秒間の分断が発生。この数秒間をSamuraiDは決して見逃さなかった。

自爆の分断により孤立しているゼニヤッタへと速攻を仕掛け、これを撃破。その後は近くにいた敵ウィンストンへと即フォーカスを移す。
そこにSabagodの絶妙な心頭滅却(ウィドウの射線避けと、前線へのヒール効果)のアシストが入ったことで敵ウィンストンのキルにも成功したが、ここから間髪おかずにPatiphanへと狙いを定めていく。

SamuraiDの最初のジャンプパックに対してPatiphanはグラップリングフックを使用して即脱出に成功するものの、SamuraiDが温存していたバリア使用し、次のジャンプパックまでの時間を稼ぐ。

出典:eSPORTS国際チャレンジカップ

そしてジャンプパックが使用可能になった瞬間に高台にいるPatiphanへと再度攻撃を仕掛けに行くSamuraiD。ここで堪らずPatiphanは地面に降りざるを得なくなる。

この一瞬のタイミングでSamuraiDはプライマルレイジを発動させて、ウィドウメーカーを味方と分断させた。

出典:eSPORTS国際チャレンジカップ

この『分断』が実に素晴らしかった。何故ならXavier側はまだマーシーが生きているため、中途半端な攻撃ではヒールが間に合うからだ。しかしSamuraiDによるプライマルレイジの吹き飛ばし、そして分断によって、Xavier側はウィドウメーカーへのヒールタイミングを永遠に失うことになる。最終的にはこれがJUPITERの勝利の瞬間へと直結した。

窮地にこそ実力を発揮する恐るべきメインタンクSamuraiD。暴力と忍耐が調和した超高レベルなタンクプレイは、今後も見る者に驚きを与え続けるに違いない。それほどまでに尋常ではないパフォーマンスを魅せつけてくれた。

最後に

この試合の内容、そして結果を受けてJUPITERの可能性を肌で感じ、世界への期待感に胸を高鳴らせた人もいたかもしれない。『オーバーウォッチ』やJUPITERを知らない人からしたら「タイ人と日本人が戦ってるー、すげー」くらいにしか思わなかったかもしれない。

しかし受け手がどうあれ、そこで起こった事実は揺るがない。

国内の長き沈黙を破り、勝利の狼煙をあげたのはJUPITERだった。そしてそれは「eSPORTS国際チャレンジカップ」の開幕の狼煙でもあり、日本オーバーウォッチの新たな幕開けでもあった。

JUPITER、その名が示すは「拡大と発展」を象徴する巨星。彼らは日本、アジア、引いては世界をまたにかける巨星となるべく日々挑戦を怠らない。本当の戦いはまだまだこれからなのだ。
彼らがいかに「拡大と発展」を遂げていくのか、是非ともその行先に注目していきたい。

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Green Leaves所属。現在はチームのマネージャーを担当。選手としての経験と、チームのマネージャーとしての活動を武器に、eスポーツに関わる様々な取材・執筆活動を行う。

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