格闘ゲーマーどぐら選手の素顔に迫る!(前編)―サイクロプス大阪所属のプロゲーマーになって―

「ビットキャッシュ賞はどぐら選手です!副賞として、ビットキャッシュ公式サイトに単独インタビューが掲載されます」

 

それは1月に行われた「日本eスポーツリーグ2016 Winter」の表彰式でのことでした。取材のため会場を訪れていた私は、「へぇ、誰が書くんだろう、楽しみだな」とのんきに構えていたのですが、なんと後日、その大役が私のところに回ってきたのです。“賞”というからにはとった本人に喜んでもらえるような内容にしなければ……と気負ってみたものの、いかんせん私はRTSやMOBAと呼ばれる“戦略ゲーム”を専門としており、“格闘ゲーム”はあまり詳しくありません。

 

とりあえず下調べをしようとネットで検索してみたところ、とにかく経歴が華やか。大会出場以外にも配信をはじめさまざまな活動をされていて、過去のインタビュー記事も多数発見してしまったのです。しかしながらゲームの専門用語で埋めつくされた記事は、私にとって少々難解なものでした。というわけで、変に飾らず自分の目線で聞こうというのが私の下した結論です。「どぐら選手ってどんな人?」をテーマに、あえて格闘ゲームに詳しくない人向けにお話をしていただきました。

 

 

プロゲーマーの夢を“大阪”で実現させた男

 

――経歴が非常に多くて驚きましたが、印象に残っている大会をあげるとしたら何ですか。

かつて「闘劇」っていう日本の格闘ゲームで最高峰の大会があったんですけど、2008年に『ギルティギア』で優勝できたのはすごくうれしかったですね。地区予選が2回あってそれに勝つと本戦で、そこで勝ったということなので言ってみれば甲子園優勝みたいなもんなんですよね。それが個人的には印象に残っています。

もうひとつが「EVO(Evolution Championship Series) 2014」ですね。まあ準優勝だったんですけど、決勝戦ですごい悔しい負け方をして。僕ゲームの大会で泣いたことってなくて、「なんぼ悔しいって言っても泣くとかないでしょ」って思ってたんですけど、そのときはいろいろあって泣きましたね。自分だけだったら良かったんでしょうけど、あのときは周りからの期待もすごかったんですよね。だからみんなの期待に応えられなかったなっていうので泣けてきたような気はしますね、今思うと。

 

――では、格闘ゲームを知らない人に自己紹介をするなら、どんなことを一番知ってもらいたいですか。

“大阪の格闘ゲーマー”、それだけですね。プロを目指すなら東京一択なんですよ、すべての環境が東京のほうが良いので。だけど大阪が好きだから、大阪でプロを目指したいなっていう……半分逃げですよね。でもすごい運良くたまたま大阪にプロチームができたから、大阪でプロになれたという感じです。

 

――サイクロプス大阪というチームに入ったきっかけを教えてください。

去年「大阪でプロゲーミングチームをつくりたい」というお話をいただいて、大阪でプロを目指すと言っていた身としては渡りに船どころか「やっと来たで!」という感じでしたね。それでお会いしたのが、サイクロプス大阪の運営会社であるeスポーツコネクトの伊草社長だったんです。でもそのとき僕は、この方が誰なのか知らなくて(苦笑)。

「できれば来てほしい、損はさせない、欲しい人材なんで」っていうのをすごい言っていただいて、「むしろ入らせてください」みたいなことを言いつつ、そのときは一旦別れたんです。あとで会社概要を調べたら代表取締役って書いてあって、「えっ、この人社長やん」ってなってけっこうドキッとしましたね。社長自ら来てくださったとは、って感じでした。

 

 

――実際に入ってみていかがですか。

最初は「これでお金がもらえるんや、すごい時代になったぞ」っていう感じだったんですけど、最近になって細かい経費の精算やチームのPR活動、配信活動などやらなければいけないことも増えてきたので、まあこんなもんかと思いました(笑)。けっこうゲーム漬けではあるんですが、ゲーム以外の部分も手伝わせていただいています。業界のことは僕のほうが詳しいので、営業とまではいきませんが外からアプローチするより僕が声をかけたほうが早いから、そういうところで貢献しているかなぐらいの感じなんですけどね。

 

――ゲーミングハウスがあると聞きましたが、ほかの選手たちと共同生活をしているんですか。

いえ、僕はもともと大阪市内に住んでいて、そこで彼女と同棲しています。ゲーミングハウスに住んでいるのはOverwatchの選手たちと監督だけですね、コーチも自宅から通いなので。でもゲーミングハウスも自転車で行ける距離なので、僕ちょくちょく行ってるんですよ。たぶん「あ、またおるわ」ぐらいの感じだと思いますよ、彼らからしたら(笑)。

 

――Overwatchの選手たちはどうですか。

僕は今年30を迎えるんですが、彼らって10代後半から20代前半なんですよ。その時期にゲームのことだけを考えてやれるっていうのは、僕らが若いときには想像もできなかったですよね。昔は人生捨ててなんの当てもないけどゲームが好きだからやるっていう奴らはいっぱいいたんですけど、今はゲームを頑張ったらそれが職業になってご飯が食べていけるっていうのはうらやましいですね。

 

「日本eスポーツリーグ2016」で東京ヴェルディを破り優勝

 


――昨年「日本eスポーツリーグ2016 Winter」というリーグに参戦し、今年1月の決勝戦で見事優勝を果たしました。率直な感想はいかがでしたか。

最近は優勝して「よっしゃー!」ではなく、「良かった~」という感情しかわかないんですよね。良い悪いはないかもしれないんですけど、客観的に見たら寂しいかもっていうぐらいの感じでしょうか。とにかく優勝できて良かったな、っていうのが第一印象ですね。

 

――練習はどのようにしましたか。

対戦相手であるソウジ選手の使うキャラクターを想定して、決勝戦の2週間前からそれだけを相手にずっと練習していたんです。 “アラクネ”っていうゴミ袋から虫が出てくるみたいなキャラなんですけど(笑)、関西のアラクネ使いで強い人たちに「もうお金出すから来てくれ」、みたいな感じで。練習を手伝ってくれた“スペシャルサンクス”はバンカーさん、振り向きさん、ことり君、ekiちゃん、吉音さんあたりですね。

それがあったので、勝ったときの解放感がすごかったです。ここまで誰かを想定して練習したのは初めてだったんですけど、それで勝てたのでそういうやり方も分かって面白かったですね。ひとつのキャラにしぼってひとつずつ対策するっていうのも、けっこう面白いなと感じました。

 

――「日本eスポーツリーグ」のように、ほかのゲームを見る機会はあまりないですよね。

でもRPGのプレイ動画をだらだらと見るときもあるし、格闘ゲームの対戦動画もけっこう見るのが好きなんですよ。今回FIFAは試合前だったんでドキドキして正直あまり内容が頭に入ってこなかったんですが、Overwatchのときは横に説明してくれる人がいて、相手が強いって聞いていたのでどのぐらい頑張れるかなって見てました。でもあれは、見る側にも技術がいるなと思いましたね(笑)。

 

アメリカ大会「Frosty Faustings IX 2017」で日本勢5冠達成

 

引用:Frosty Faustings Facebookページ

――1月末に行われた「Frosty Faustings IX 2017」において『ギルティギア』と『ブレイブルー』で優勝、『ストリートファイターⅤ』でベスト8をおさめたと伺いました。まずは行ってきた感想を聞かせてもらえますか。

寒かったですね!海外の気候って分からないのでだいたい事前に聞くんですけど、シカゴってなんとなく温暖なイメージがあったんですよ。それでニューヨークに住んでいる友達に聞いたら「今マイナス12度ぐらいちゃう?」みたいに言われて「え~っ?」ってなって。実際行ったらマジで寒くて……肌が痛い。たばこを吸うために外に出るんですけど、寒すぎてたばこどころじゃないんですよ。でもアメリカ人って半袖1枚で外に30分ぐらいいたりするんで、あれはビビりましたね(笑)。幸い室内は暖房がガンガンだったので、試合には影響ありませんでした。

 

――いっしょに行ったチームメイトのGO1選手とは昔からの知り合いなんですか。

実は同い年なんですよね、僕ら。同じゲームをプレイする機会はあまりなかったんですが、前々から関西で格闘ゲームをやっていたのでお互い認識はしていました。去年の2月に『ストリートファイターⅤ』が出て、そこからいっしょにプレイするようになって本格的に仲良くなりましたね。

 

――確かにアメリカでも、お二人の出場種目は『ストリートファイターⅤ』以外は違いますね。

格闘ゲームって、ゲーム会社によってジャンルがあるんですよ。『ストリートファイター』はカプコンさん、『ギルティギア』や『ブレイブルー』はアークシステムワークスさん、『メルティブラッド』や『電撃ファイティングクライマックス』はエコールさん、といった具合に。僕は“アーク”が専門で、GO1選手は“エコール”のゲームをやっているんです。彼がやっているのは女の子のキャラクターがいっぱい出るゲームですね(笑)。

『ストリートファイター』は一番古いので、ひとことで言うなら“おっさん”ですよね。ゲーム自体もシンプルで、じゃあいろいろなシステムをつけたら面白くなるんじゃないのって複雑化したのがアークのゲームです。カプコンのゲームをやっている人のなかには、アークゲーのことを“ゆとり”と言う人もいます。たとえば理論上2対1だったら人数多いほうが勝つけど、このタイミングでいくと相手が2人でも勝てるみたいなものってあるんですよね。そういう“オカルト”な部分を詰めすぎているプレイヤーが、カプコンのゲームをやっている人たちには多くて。それが格闘ゲームで上手くなるということでもあったんですけど、最近の若者はデジタルな部分に頼りすぎているので、そういう動きに対応できないんですよね。

 

 

と、完全に話が脱線したところで「つづきは後編で……」ということにさせていただきます。アメリカ大会については自分のプレイに対する感想やら対戦相手の話やらを聞こうと思っていたんですが、脱線したまま聞きそびれてしまいました。でもそれ以外の面白い話がたくさん聞けたと思うので、読者の皆さん、ここはひとつ大目に見てください(笑)。次回は学生時代の思い出話から現在の趣味や恋愛の話まで、さらにどぐら選手のパーソナリティーに迫るような内容でお届けしますので是非お楽しみに!

【後編】格闘ゲーマーどぐら選手の素顔に迫る!―学生時代の思い出話から趣味や恋愛の話まで―

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スイニャン

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韓国在住経験5年。在韓中の2006年ごろeスポーツと出会い、StarCraft: Brood Warプロゲーマーの追っかけとなる。帰国後2009年ごろからさまざまなWEBメディアで取材・執筆活動を行うほか、語学力を活かして韓国人プレイヤーのインタビュー通訳・翻訳や国際大会の日本代表団引率通訳などの活動も行っている。自らはゲームをほとんどプレイせず、おもにプロゲーマーの試合を楽しむ観戦勢。

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