PAGE: 2 / 3

世界初のTCG『Magic: The Gathering』ついにeスポーツ参入! MTG専門店社長&プロプレイヤー 齋藤 友晴氏にインタビュー

eスポーツとしての課題は”観戦時の分かりづらさ”

――以前は「運」要素が多分にあるゲームの競技化には多くの反発がありましたが、ここ数年、観戦スポーツとしての盛り上がりにはある程度「運」要素が必要であるという認識が浸透してきました。これに関してはどのようにお考えでしょうか。

確かに『マジック』の「運」要素は他のゲームやスポーツに比べると多めかもしれません。しかしこれはポジティブに捉えるべきでして、観る側やプレイする側が「運」の濃淡を選べるようになった、と考えるのが良いと思います。

――「運」の多様性ですね。確かに「運」要素が同程度の競技がたくさんもあっても仕方ないかもしれません。

それよりも僕が課題に感じているのは、観戦者への配慮です。ゲームのルールを把握するのが比較的大変なので、対戦の有利不利や盛り上がりポイントが観戦者に伝わりづらいのが問題です。

各国のプロプレイヤー達が活発に配信されていますが、初心者向けのルール解説のようなものではありません。「晴れる屋」では、新規の方々が増えたこのタイミングで初心者向けのコンテンツ作りを進めていく予定です。

――ストリーミング配信ではボードゲームに用いられるような評価値ゲージが導入され始めましたが「そういう問題か?」とは内心感じてしまいました。

評価値ゲージ自体は良い施策だと感じていますが、不足感もあります。
マジックアリーナは演出が派手になり、グラフィック面・サウンド面で意識はされていますが、テーブルトップ側はまだまだ努力が必要です。

――観戦側からすると「なんかルール分からないけど盛り上がってるから観てて楽しい!→ところでこれはどんなルールでやってるのだろう?」という興味の順番が正しい気がします。

『マジック』にとってその点は課題ですね。

歴史が長い分、変化には時間が掛かりそうです。「対戦相手や周囲に配慮して、謙虚でいなければならない」という精神がマジックプレイヤーには根付いていますので。

『マジック』の魅力は競技だけじゃない

――反対に『マジック』側から見るeスポーツはどのような印象ですか?

eスポーツはとても素晴らしい文化だと思っています。それを大前提として指摘するとしたら、『マジック』的には少し窮屈な印象がありますね。

実際、競技としてマジックをプレイしている人はほんの一握り。プロが成り立つゲームとして友達とかに自慢できることは重要ですが、各プレイヤーが好きな遊び方をできるというのが『マジック』の本質的な魅力です。

――eスポーツの定義自体を考えさせられるご指摘です。

野球やサッカーのようなフィジカルスポーツって「遊び」でプレイしている人も含めるじゃないですか。でもeスポーツってそうなっていない。「スポーツ+エレクトロニック=eスポーツ」という関係性ではないんですね。これは『マジック』が最大限魅力を発揮する環境としては少し窮屈です。

――確かに『マジック』は遊びの領域がかなり広いですね。コミュニケーションツール、カードアートの鑑賞、趣味としてのコレクション……多くの楽しみ方があるように感じます。

その通りです。例えば、拡張アートやシャドーボックスが盛り上がる方が重要だと僕は思っています。カードゲームとしてプレイしなくても『マジック』は楽しめるんです。これはもっと注目されるべき文化ですし、『マジック』の歴史そのものです。

『マジック』の競技面はeスポーツの盛り上がりに連動して自動的に盛り上がっていくので、それ以外の部分ももっとアピールされるべきだと思っています。

――それはとても大切なことです。eスポーツメディアにおいても、僕が声を大にして伝えていきたいことだと感じました。

よろしくおねがいします!『マジック』の魅力は楽しみ方がとにかく多いこと。ユーザ層が増えたので今後もっと多彩な楽しみ方が産まれていくと思います。

シャドーボックス: ユーザの自主作成作品、複数枚のカードを重ねて加工することで全体に立体感をもたせる

アナログゲームだからこその拡張性の高さ

――近年のデジタルTCGの流行により、アナログゲームとしての個性がより際立ってきたように思えます。

仰る通りです。デジタル化の普及でアナログ側はヤバいんじゃないかとご指摘を受けますが、実際は全くの逆ですね。晴れる屋ではテーブルトップでのイベント運営やリアルカード販売を行っていますが、全く不安はありません。

ユーザ層の分母が大きくなり、より盛り上がっていくと確信しています。デジタルとしての遊び方は、以前から『マジックオンライン』が存在していたのであまり変化は無いのです。

――紙のカード自体に不思議な魅力がある気がします。デジタルカードゲームのイベントでは、ゲーム内に登場するカードの紙版を景品として配布していますが、そのカードを手に取ったとき妙に興奮してしまう自分がいました。

写真もデータで十分なハズなのに、わざわざプリントアウトして飾りますし、人間はモノにすることに意味を感じるんだと思います。

そして『マジック』は紙だからできる遊び方が特に多いゲームです。拡張アートやシャドーボックス等はまさにそう、アナログだからこその拡張性の高さがユーザの創造力を刺激し、長年かけて育まれてきたコンテンツなんです。

――ユーザが一緒に盛り上げていくのも『マジック』の特徴ですね

はい、マジックアリーナがリリースされた現状においても、個人メディアや有志のエンジニアさん達がマジックeスポーツ化をサポートするコンテンツを次々に発信しています。このユーザ全員で盛り上げる感じはまさに『マジック』って感じです。
新しいルールを作りまくるYouTubeチャンネルとかが出てきても面白そうです。

幅広いカードゲームプレイヤーの活動領域
前のページ
1
2
3
次のページ

OGA(Ogawa Shota)

プロフィールを見る

職業:WEBディレクター/ブランディングコンサル。  シブゲーではMTG(マジック:ザ・ギャザリング)関連の記事を企画担当します。  MTGはプレイするのも大好き、世界大会(プロツアーホノルル2016)出場経験あり。  プレイヤー視点、メディア視点、両方の立場から情報発信します。

あわせて読みたい

KEYWORD

キーワードから関連記事を探す

RANKING

人気の記事

  • DAILY
  • WEEKLY
  • MONTHLY

GAMES

注目ゲームから探す

ドラゴンクエストライバルズ

PUBG

Shadowverse

スプラトゥーン2

League of Legends

ストリートファイターⅤ

Hearthstone

Overwatch

PICKUP POSTS

編集部のおすすめ記事

TREND KEYWORD

注目キーワードから探す

LATEST

新着記事

すべての記事を見る