ゲームの世界の暴言と偏見を乗り越える。性別を超えて共に楽しみ、強くなるために必要なこと

「eスポーツは多様性に富んだスポーツだ」と言われることがある。

確かにeスポーツ(ひいてはゲーム全般)は、コントローラーやキーボード・マウスさえ持てれば誰でもプレイできる、という点で多様性を秘めていると言えるだろう。

だが果たして現在のeスポーツシーンは、多様性という魅力を十分に引き出せているのだろうか?

この記事では、筆者がこうした疑問を提起する原因のほんの一端である「ゲームと性別」に関する暴言・偏見について述べていく。これらの綻びがeスポーツ業界に及ぼすであろう影響も考えていきたい

そして、性別という観点に限らず全ての人が安心してゲームへの情熱を分かち合い、プレイヤーとして共に強くなるための施策について考察する。

 

暴言の定義:ゲームプレイの技量に関する罵りというよりは、その範囲を超えるほど害のあるもの。ほかのプレイヤーを孤立させ遠ざける発言。この記事では主に性別に関するものだが、容姿・国籍・人種など特定的かつ理不尽な理由を掲げて相手を貶める発言。

第1章  ゲームの世界の暴言と偏見-性別に関して

多くのプレイヤーが経験したことがあると思うが、オンラインプレイでは様々な暴言や偏見が横行している。

性別に関するものもその一つだ。

eスポーツシーンでもこれは無視できない問題になっており、性差別を受けたというエピソードは枚挙に暇がない。

例えば『Overwatch』プロシーンで活躍する「Shanghai Dragons」のGeguri選手は、練習の為にボイスチェンジャーの購入を検討していた。なぜなら、男性のプレイヤーは声で女性だと分かった途端に、非協力的になることがあったからだ。

▲「Shanghai Dragons」所属のGeguri選手(画像引用:Overwatch pro Geguri hilariously taunts Dafran as he struggles with Widowmaker|DEXERTO

また、「第2回 PUBG GIRLS BATTLE」DUO部門優勝を果たし、Team ZERO PUBG部門で活躍するEto選手も「ある大会に出た時に『女がいるチームがあるから倒しに行こうぜ』と言っていたチームがあったらしくて。それくらい、”女の人=弱い”というイメージは染み付いていると思います」とインタビューで語っている

このような現象の原因として、性別とゲームに関する認識の齟齬が挙げられるが、それはまた後に言及する。

第2章  暴言と偏見がeスポーツに与える影響

前章では、eスポーツシーンに暴言や偏見が散見されることについて述べた。この章では、それらが業界に与える影響について考察する。

摘まれるプロゲーマーの芽

特定の集団への暴言や偏見は、彼らがゲームに熱中する気持ちや、プロシーンへ進む可能性さえも潰していく。現状のeスポーツシーンは、より多くの才能と出会う機会を損失しているとも言える。

例えばTHE KANSAS CITY STARによると、先述したGeguri選手がOverwatch League – Inaugural Seasonにて報道陣に「Overwatch Leagueに出場するにふさわしいスキルのある女性は存在する。しかし彼女らは、(暴言や偏見のある)そのコミュニティに属したがらないし、私も彼女たちを否定しない」と語ったという。

また、質の良い練習機会の喪失という問題も挙げられる。理不尽な言葉を恐れてユーザー間で交流できず、理不尽な理由で実力がまともに評価されないゆえに、練習相手が見つかりづらい。FPSなど上達の為にチームを組むことが必要不可欠なジャンルにおいてこれは死活問題であり、女性限定チームを作らざるを得ない理由の一つにもなっているのだ。

BBCによると、『CS:GO』で活躍するStephanie “missharvey” Harvey は過去に複数の女性限定チームに所属していたが、その理由として「女性というだけで練習相手から見下され、彼らからリスペクトを得るには時間がかかりすぎるから」と述べている。(画像引用:ASTRO GAMING BLOG

 

eスポーツ市場の成長が止まる?

また、動画配信サイトでの暴言は、スポンサー離れを引き起こす。

例えば、米ネットワーク機器大手のシスコシステムズは「不適切なコンテンツを含む動画」と自社の広告がともに表示されるのを懸念し、YouTubeから全ての広告を撤退させた。

これはTwitchやMixerなども例に漏れず、配信者やコメント欄のファンたちが不適切な発言をした場合も上記のような最悪の事態を引き起こす可能性がある。

eスポーツ業界では、動画配信サイト上での配信者(例えばプロゲーマー、ストリーマー)とファン、そしてファン同士の強い繋がりやそこから生まれる熱狂が広告枠として魅力的なものとなっている。

しかし、「あの大会のコメント欄は治安が悪い」と認識され、視聴者数の減少などでそこが上手く機能しない場合、スポンサーは寄り付かないだろう。

これは、「スポンサー収入」を重要な収入源とするeスポーツ業界にとっては大きな痛手となる。

▲画像引用:Esports Market Report|SUPER DATA

SUPER DATAによると、eスポーツ業界の市場規模の35%を占めるのが、スポンサー・広告収入だ。現状では、スポンサー無しにはeスポーツビジネスは成り立たないと言っても過言ではない。

eスポーツビジネスの成長を止めないためにも、暴言や偏見にどう対処するかという課題は避けて通れないだろう。

 

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ゆき

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「Halo」が大好き。日本は「Halo」の情報が少なすぎるので、「Halo」のesportsシーンについて書いていきます。  「Halo」を通じてesportsの世界を覗いてみましょう。「Halo」じゃなくてもアツいなあと思ったことはなんでも書きます!

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