「より多くの選手が注目されるチャンスを」迫力の試合映像を届ける、PJSの配信スタッフにインタビュー【オブザーバー編】

DMM GAMESが主催する『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の日本公式リーグ「PUBG JAPAN SERIES」(以下、PJS)では、視聴者を魅了する高いクオリティの試合映像が届けられています。

その配信において制作に携わっているのは、数々のeスポーツイベントで運営や配信を手がける株式会社RIZeST。前回のディレクター大津さんへのインタビューに引き続き、本記事ではPJSのオブザーバーチームでスイッチャーを務めているRIZeSTの立石雄太さんにインタビューを行いました。

さまざまな方向から試合の展開を追うゲーム内カメラや、その映像をリアルタイムに切り替えるスイッチャーなど、迫力の試合映像を作り出すオブザーバーチームの仕事に迫ります。

PJSの試合映像を届ける8人体制のオブザーバーチーム

――PJSのオブザーバーチームでは、現在どのような体制で映像を作っているか教えてください。

ゲーム内カメラは3人1チームを組み、それを2チーム配置しています。チームには1人ずつリーダーがいて、各リーダーが試合展開を予測して撮るべき場面を判断します。そして、その3人1チームのカメラで1か所の戦闘を押さえる、という形ですね。

さらに、その6人に加えて、映像を切り替えるスイッチャーが1人、マップ配信の管理に1人、合わせて8人で映像を作っています。

――ゲーム内カメラの2チーム間では、どのように連携を取っているのでしょうか?

リーダー同士が声を掛け合って連携を取り、それぞれ別の場所を見るようにしています。先に戦闘が起こりそうな方の映像をスイッチャーが拾って、もう1つの方で戦闘が始まれば、すぐにそちらへ切り替えます。

映しているところの戦況が膠着した場合などは、もう少し長く見せるのか、別の戦闘が起きそうな場所に移すのか、リーダー2人とスイッチャーの僕で相談して、出すべき画を判断しています。

――3人で1チームを組んでいるとのことですが、それぞれに役割はありますか?

リーダー以外の2人には、それぞれ選手視点と俯瞰視点の役割が振られています。1つのシーンを映す流れとしては、例えばある場所で2つのチームがぶつかって戦闘が起きる時、リーダーがその場面を映すことを決め、チームに指示を出します。

その指示を受けて、まずは戦っている一方のチームに選手視点のカメラが入り、それを確認したリーダーのカメラが、そのチームと戦っている相手側の選手視点に入ります。そして、俯瞰視点のカメラが周囲から状況を映して、ワンシーンを完成させています。

――リーダーは指示を出しつつ、自身もカメラとしてシーンを追っているんですね。

リーダーは、俯瞰視点をどのように映すかの指示も出します。例えば、戦闘中の状況に3チーム目もいる場合、そのチームを画面の中に収めるか否か。画面に収めるなら、横から狙っている構図にするのか、3すくみの構図にするのか。そういった判断もリーダーに任せています。

――『PUBG』はバトルロイヤルゲームという性質上、試合におけるチーム数が多く、必要なオブザーバーの人数も多いのではと思います。

明らかに多いですね。これまで他のFPSタイトルでオブザーバーに携わった時は、チーム対チームの形式だったので、両チームの視点に1人ずつと、上から戦況を押さえる俯瞰視点に1人で計3人のカメラ、それにスイッチャー1人の体制でやっていました。

PJSが始まった当初のαリーグでは、従来の体制にカメラを1人増やした状態でスタートしたんですが、いざやってみると4人のカメラで試合を追うのはかなり厳しいなと……。

――オブザーバーチームの体制にも、いろいろな試行錯誤があったんですね。

αリーグの時は、4人のカメラの後ろにアナリストの方がいたんです。どういう試合展開になるかをアナリストが予測して、そこにカメラを移動させるという形をとっていたんですが、そのやり方だと連携面でいろいろと追いつかなくなってしまって。

試行錯誤してきて、落ち着いたのがβリーグの終わり頃ですね。それまでは、オーブザーバールームの様子を見た人に「まるで戦場だ」と言われたりもしていたんですけど(笑)。あの頃に比べたら、今はずいぶん落ち着いて仕事ができるようになりました。

チームのストーリーを踏まえ、重要なシーンにフォーカス

――スイッチャーの方は、試合中に何画面くらいを見ているのですか?

各カメラの映像が7枚。それにマップ配信と、自分が出している配信画面の返しがあるので、合わせて9枚です。

――9枚! かなりの情報量だと思いますが、どのように把握しているのでしょうか。

目で見て把握するのは難しいので、声でのやり取りがメインです。各カメラにナンバーが振ってあり、それぞれから報告される声の大きさなどで重要度を判断しています。

例えば、落ち着いた声で「1カメで戦闘が起きそうです」という報告が入った時、自分が映しているシーンの方が大事だと思ったら、そちらには切り替えません。ですが、大きな声で「2カメで戦闘起きます!」と言われたら、重要なシーンだと判断してすぐにそちらの映像へ切り替えています。

――複数の場所で同時に戦闘が起きた時など、判断が難しい場面はありませんか?

ありますね。よく覚えているのは、Season1 DAY6の最終試合です。終盤に「Crest Gaming Xanadu」のRio01選手がショットガンで遠距離の敵を抜くシーンがあって、1人のカメラがそれを映せていたんですけど、僕がそちらに映像を切り替えられなかったんです。

ただ、僕の中でその試合は「Rascal Jester」を主人公にしようと考えていて、彼らを優先的に映していたという理由がありました。判断の難しいところですが、良いシーンを逃してしまったという反省点でもあります。

――「Rascal Jester」が降格圏からの大逆転ドン勝を見せた試合ですね。とてもドラマチックな展開でしたが、そういったチームのストーリーを踏まえて映すべきシーンを判断されているということでしょうか?

僕のやるべき仕事は、まさにその部分だと思うので。どの戦闘をどうやって映すかはリーダーの判断に任せている部分も大きいですが、その中でもチームの昇格や降格が決まる瞬間など、優先的に映像を切り替えてフォーカスすべき場面は毎試合、必ず僕の頭に入れています。

とはいえ、それまでの試合ではバランス良く見せていたのに、Phase最終日などになると明らかにチームの映り方に差が出てしまう状況は避けたいので、絞り切ることはしないようにしています。

――16チームをまんべんなく映しつつ、フォーカスすべきところは押さえると。とても難しい判断が求められますね。

勢いのあるチームや注目の選手がいると、そこについカメラが入りがちな流れが出来てしまうこともあって。そういった偏りが起きないように、いろんなチームや選手をしっかりと見せていきたいと考えています。

自分が一番良いと思う映像を届けられることが最大のやりがい
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綾本 ゆかり

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ソーシャルゲームをつくっていた会社員時代を経て、現在はフリーライターとして活動。PUBGで観戦の楽しさを知ったことをきっかけに、eスポーツの世界へ。ゲームやプレイヤーの魅力を伝えるべく、イベントレポートやインタビューを中心に取材記事を執筆します。

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