【スイニャン × 綾本ゆかり】観戦勢ライターに聞いた「eスポーツライターってどんなお仕事?」

eスポーツが好きで、eスポーツに関わりたいと思っている方に伝えたい「eスポーツライター」というお仕事の裏側。

eスポーツライターのお仕事は多岐にわたります。SHIBUYA GAMEに掲載しているような選手のインタビューや大会の取材レポートを作ることはもちろん、eスポーツ界でのニュースを記事にしたり、ゲームの攻略法やコラムを書いたりするのもお仕事のひとつです。

その中で、選手にもゲームにも特大の愛情を注ぎ、eスポーツの現場を追いかけ続けているスイニャンさんと綾本ゆかりさん。記事を通して伝え続ける2人にお話を伺いながら、eスポーツライターの魅力を紐解きます。

スイニャン プロフィール(写真右)
韓国在住時に『StarCraft』プロシーンのファンになる。帰国後、その熱烈な「スタクラ愛」の矛先として個人ブログを始めたところ、メディアから声が掛かりライター活動をスタート。現在は会社員として週3日働きながら、様々な場所でライター活動を続けつつ、eスポーツの現場では韓国人選手の通訳、C4LANスタッフとしても活躍している。
Twitter @shuiniao
綾本ゆかり プロフィール(写真左)
大学時代にティーン向けファッション誌でライター活動をスタート。新卒で会社員を経験した後フリーライターへ転身し、ビジネスや芸能などのライターとしてキャリアを積む。あるとき『PUBG』の観戦にどっぷりハマり、eスポーツの取材ライターに。国内での『PUBG』eスポーツシーンができてすぐの2017年末頃から、『PUBG』一筋で記事を書いている。
Twitter @ayayuka99

ライターに踏み出したきっかけはスイニャンさん

――2人とも業界ではよく知られている存在ですが、それぞれお互いのことってどのタイミングで知りましたか?

スイニャン いつだろう……。

綾本ゆかり 『PUBG』のGeForce CUPの記事が出た時かな。2017年に私が書いたイベントレポートに対して、スイニャンさんが「同じ匂いのする人が出てきた」みたいなことをTwitterで書いてくださったんですよ。

スイニャン あったかも。確か、eスポーツ大会のレポートなのにゲーム画面の写真のない記事だったので、「ついにこういう記事を書く人が現れたか!」と驚いて(笑)。


▲2017年当時のツイート(探しちゃいました。)

――シブゲーは、ゲームの内容以上に人の表情やドラマにフォーカスしているメディアですもんね。逆に綾本さんがスイニャンさんを知ったのはいつ頃だったんですか?

綾本ゆかり あのツイートの前からスイニャンさんのことは知っていましたね。むしろ、私がeスポーツの取材ライターになりたいと思った時、スイニャンさんの存在に背中を押してもらったというか。

スイニャン おお!

綾本ゆかり 最初は観る側のファンとして『PUBG』にハマって、大会や競技シーンのことを調べるうちにeスポーツやシブゲーのことを知っていったんです。そこからスイニャンさんの記事にもたどり着いて、スイニャンさんのプロフィールに書いてある「観戦勢」という言葉を見た時に、自身ではゲームをプレイしていなかった私にも名前がついた感じがして。

それで、スイニャンさんの記事を読んで、「プレイヤーではない私でも書いていいんだ!」と思えたんです。もしスイニャンさんがいなかったら、「メディアにコンタクトを取る前に自分でゲームをプレイしてから……」「知識をつけてから……」と思ってしまって、踏み出すまでにもっと時間がかかっていたと思います。

――素敵なお話ですね。

スイニャン ありがたいですね。でもそれは昔から言われます。ライターに限らず、なんとなくeスポーツが好きで業界に携わりたいと思っている人も、自分がゲームをしていないことや知識が少ないことに対して負い目を感じている人がほとんどみたいです。

私は韓国のeスポーツを最初に体感したので、一度もそう感じたことはありませんでした。当時、韓国のプロリーグはお客さんの9割が女の子で、そのうちゲームをプレイしている子はほんの一握りだけだったんです。プレイをしていないのが当たり前な世界から入ったので、うしろめたい気持ちはわからなかったですね。

▲綾本ゆかりさんが韓国へ飛び、『PUBG』の公式リーグ「AfreecaTV PUBG League(APL)」を取材した2018年2月の写真。この頃も女性の熱は顕在だったようです。

eスポーツの観戦は趣味

――そもそも、eスポーツライターは何をするお仕事なのでしょうか?

綾本ゆかり いろいろな方がいると思いますが、私は取材をメインとしているので、主にイベントや大会のレポート記事とインタビュー記事の執筆をしています。コラムなどを書かれるライターさんもいますよね。

仕事の一連の流れとしては、まずは誰にどういう取材をするかという内容を考えて、その企画の実現に向けて調整。そして当日は、状況に応じてスチール撮影もしつつ取材します。取材後は、インタビューであれば文字に起こし、記事を作成して、完成したものを読者さんに届けるという感じですね。編集の業務と重なる部分もありますが、私はすべてをやらせてもらっていることが多いです。

――1年間で計算すると取材に行く現場数はどのくらいになりますか?

スイニャン 私はLJLで通訳の仕事もしているので、シーズン中はだいたい週2回ですね。

綾本ゆかり 私は2018年にシブゲーで書いた記事が65本だったので、イベントとインタビューでそのくらいの数は取材に行ったことになると思います。

――65本、綾本さんもほぼ週に1回ペースですね。eスポーツライターって原稿の納期だけではなくて、イベントや大会だと拘束時間も長いじゃないですか。特にスイニャンさんは平日に会社員としてもお仕事もされていますし、大変なことも多いのでは?

綾本ゆかり イベントや大会は基本的に時間が長いので、体力は必要ですね。

スイニャン でも時間が長いのは当たり前のことだと思っていたので、ライターってこういうものなのかなと。

綾本ゆかり 会場で取材しているときは大変って感じないですよね。「あ〜楽しかった!」みたいな(笑)。

取材以外でも、私は普段から『PUBG』の配信を付けっぱなしで、ながら視聴も含めて1日平均6時間くらいは見ています。PJSでは、Grade1だけではなくGrade2やPaRがあってのドラマもたくさんあるし、日本チームが出場する海外大会もあります。選手にインタビューをする中でも「あのシーンが」みたいに具体的な場面を挙げることもあるので、やはり好きで見続けていないと難しい仕事なのかなとは思います。

スイニャン 趣味なんだよな……。趣味だから没頭できるんですよね。

綾本ゆかり 私も『PUBG』を観るのは完全に趣味なので、時間を費やすことに対して仕事だと思ったことはないんです。以前、芸能の取材をしていた時は、例えば俳優さんのインタビューであれば事前に映画を1本見て準備したりしていました。その時、私はそれを仕事として必要な時間だと思っていたのですが、映画1本が2時間だとして、PJS(※)だったら2~3ラウンド分しか観られない。『PUBG』を観ている時間を、仕事だと考えてしまったらとんでもないことになります(笑)。

※PJS:日本公式リーグである「PUBG JAPAN SERIES」の略。PJSでは4ラウンド(4試合)×6日間を1シーズンの区切りとしている。

スイニャン 仮に仕事ではなかったとしても、私たちはその大会を観るんですよ。だから結局、一緒なんですよね。自分が観たいから行くわけで、ついでに取材もできれば日本のみんなにも喜んでもらえると思うし、私も取材として選手に会いに行けて嬉しいし。

綾本ゆかり 今は趣味と仕事が一致しているので特に苦はないですが、これが一致していなかったらつらいと思います。もしあまり興味がない人が「このタイトルの取材記事を書いて」と言われて、あくまで仕事として本気でやろうとしたら、かなり大変なんじゃないかなと思いますね。

――たしかに。でもスイニャンさんはもう10年以上、ずっとeスポーツが好きで関わっているじゃないですか。どんなに好きな俳優さんやアーティストでも、10年も経つと熱量が冷めてしまうこともあると思うんですよ。それがすごいなと。

スイニャン ただミーハーなだけだと思いますよ(笑)。あの選手も好きだし、この選手も好きだし〜って。辞めてしまう選手がいても、まだあの選手がいる。それがずっと続いている感じです。

綾本ゆかり 俳優さんやアーティストの場合はその人自身を追いかけることになりますが、eスポーツはそのゲームが好きだからというのもあるかもしれないですね。だからそのタイトルで活躍する人が移り変わっても、シーン自体を好きでいられるみたいな。

ドキドキの初取材

――長くeスポーツライターをやられている中で、印象に残っている現場はありますか?

綾本ゆかり 最初にシブゲーの取材として行った「FRYING PAN CUP」ですかね。後に活躍するプレイヤーがたくさん参加していた、今ではちょっとした伝説的なイベントなんですが、その会場で取材したプレイヤーたちが、当時まだ『PUBG』をプレイしたことがなかった私に対しても全く排他的ではなかったんです。コメントをもらう時も、わかりやすく伝えようとしてくれていて。

スイニャン 優しい!

綾本ゆかり 初めて行った取材で、プレイヤーの人たちがみんな優しくて安心したのも大きかったですね。

――その取材が綾本さんにとっては原点になっているんですね。

綾本ゆかり そうですね。今のTwitterアカウントも、その日の取材から帰ってすぐに作ったアカウントなので。

あとは、取材現場というより、私の記事に対して「女性ならではの記事が好きです」「応援しています」というメッセージをもらう立場になったことも衝撃でした。これまでは無記名での記事を書くことも多かったので、誰が書いてもあまり変わらないかなと思っている部分があったんです。でも今は、私が書いた記事として認識して読んでくださっている方も多くて、その変化も印象的ですね。

スイニャン おもしろいですね。確かにこの仕事って、個人の色が出るし名前も見られるし、ライターとしてすごく認識される世界なんですよね。私も女性だからか、最初からリプライやコメントをもらうことが多かったです。今は通訳として表に出るお仕事が多いので特にそうなのかもしれないですが、本当にそっくりそのまま同じ経験をしていますね。

――それはこれからライターを志す人にとって、やりがいにも繋がりますね。

eスポーツライターに必要なことって?
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渡辺 静

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感覚派の編集・ライター。なんでもワクワクしちゃう観戦勢。特に、ロケットリーグ、CoD、R6Sが好きです。 女性プロゲーマーはつめさんが挑戦し続ける姿に感化されて、シブゲーに来ました。

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