マーケティングを通してeスポーツを発信する 「happy esports」謎部えむ インタビュー

NTT出版により、6月3日(月)から発売が予定されている、eスポーツ業界の8人の「中の人」が独自の目線と立場で寄稿した書籍『1億3000万人のためのeスポーツ入門』

従来のeスポーツ書籍にはないディープな切り口で書かれている面もあれば、業界のことを何も知らない人が読んでも把握しやすい編集が施されている本著ですが、SHIBUYA GAME編集部はまだまだ面白そうな話が眠っていると判断し、怒涛の7連続インタビューを敢行することとなりました。

聞き手として、独立ゲームメディア「ゲーマー日日新聞」を運営するJiniさん(@Jini_R)に、紙面に書ききれなかった彼ら、eスポーツの”あいだ”ではたらく人々の真意を探っていただきます。

 

―――

ゲーマー日日新聞のJiniです。

『1億3000万人のためのeスポーツ入門』発刊記念インタビュー、第2弾はメディア「happy esports」を主宰される謎部えむ(@Nasobem_W)さんです。

謎部えむさんには、どのような意図をもって書籍を出版されたのか、また謎部えむさんが普段「happy esports」で発信するデジタルマーケティングのノウハウなどをうかがいました。

普段、果断な言い回しを好む方ですが、今回のインタビューでも「謎部節」が遺憾なく発揮されています。さすがに編集部も空気を読んで、表現を柔らかく変えたりした上で謎部さんにチェックして頂いたところ、全て「元通り」になって返ってきたそうです。

「一度入って出た人間の視点」で伝えるeスポーツ

Jini まず、謎部えむさんの自己紹介をしていただいてもいいですか?

 

謎部えむ 実際のところたいした情報でもないし過去のことは言ってもしょうがないんですけど、簡単に説明すると『League of Legends』(以下、LoL)の日本プロリーグである「LJL」の立ち上げなど、eスポーツ関連のイベントの企画・運営に携わっていたことがあります。

現在はeスポーツ系の企業には所属しておらず、「happy esports」というeスポーツを総合的に扱うメディアを趣味として続けています。

 

Jini なるほど、つまり一番業界から遠い立場で『1億3000万人のためのeスポーツ入門』の執筆に携われたわけですね。

 

謎部えむ はい。別に業界内で働いていないと何かしてはいけないわけではないですし、それを言ったらeスポーツメディアのレジェンドである「Negitaku.org」を17年運営されてるYossy(@YossyFPS)さんも、メインの仕事はeスポーツとは直接関係ないでしょうからね。

eスポーツメディアにおけるレジェンド、「Negitaku.org」

 

Jini 確かに。自分もそうなんですけど、メディアをやるにあたっては外側から見た方が面白い部分があると思うんですよね。

 

謎部えむ 僕の場合は一度業界に入って、その後出てメディアを運営している人間なので、また少し違う気がします。ただ、この立場だから見えてくるものはあります。

 

Jini と言うと?

 

謎部えむ eスポーツ業界で働いている当時はとにかく毎日が必死でした。イベントの運営と言っても、機材を運ぶ、PCをセッティングするといった仕事も自分たちでやっていましたから。当日いきなり問題が発生するなんてことも日常茶飯事でしたし、さまざまな学びが非常に多かったという”よき”思い出があります。

とはいえ、さすがにがむしゃらに働きすぎると視野が狭くなってくるので、自分たちが培ってきたノウハウをうまく業界内やコミュニティに伝えられなかったり、逆に他社から学べなかったりするわけです。

今でも当時の僕と同じような挑戦と失敗を繰り返している人がいるかもしれませんが、結局それって「車輪の再発明」(※)が続いているだけでもったいない。ノウハウが共有されないことで悪循環が起きると、業界全体としてレベルアップしづらくなるわけです。

※すでに確立されている技術が存在するのに、同様のものを再び一から作ること

 

Jini たしかに、毎回円滑に進められる大会運営と、逆に何かしらトラブルを起こしてしまう大会運営で、大きな差を感じることはあります。

 

謎部えむ ブログサービスのnoteで「happy esports」を立ち上げた当初は、そういったすでに確立された技術、つまり「車輪」を広められたらいいんじゃないかなと考えていました。今はテーマもわりと適当ですが、読んだ人に何か学びや考えの種を提供できたらいいなと思っています。

 

Jini 中にいても外にいても見えない”あいだ”から記事を書かれてるんですね。

 

謎部えむ 中で働いていると死ぬほど忙しいので、なかなかノウハウを理論化、マニュアル化するのが難しく、肌感覚でやってしまっている部分が多いのではと思います。それだと技術が継承されていかない。かといって、外にいるだけだと内部で実際に行動している人たちの事情が分かりません。

今回僕も寄稿した『1億3000万人のためのeスポーツ入門』という本は、あくまで業界の外に向けて書かれていますが、業界の人が読んでも役立つ部分は多いと思います。

内容のレベルとしては基礎の基礎なんですが、算数の加減乗除のようなもので、この基礎をうまくアレンジして自社の取り組みを理論化することは可能かなと。

 

Jini なるほど、業界人が読んでも得るものはあると。しかし、この本で加減乗除を覚えたとして、そこからより深くeスポーツビジネスを展開・発展させるにはどうすれば良いのでしょうか。

 

謎部えむ 大会運営のノウハウは相当高まっていると思いますが、足りないのはマーケティングですね。とりわけデジタルマーケティング(※)はeスポーツという商材を扱うにあたっては必須と言ってもよく、しかしできる人は非常に少ないのが実情でしょう。eスポーツ業界に限りませんが。

なので、デジタルマーケティングに精通する人を確保するか、eスポーツを扱っている部門の人にデジタルマーケティングを教えるかしたほうがいいでしょうね。マーケティングをやらないと、どんなにすばらしい商品も売れないので。

※主にインターネットやデジタルツールを用いたマーケティング

 

Jini 参考になります。謎部えむさんはSNSなどでは果断な物言いで発言されますが、それも結局はより具体的な話をするためなんですよね。無駄に遠回しな言い方を避けて、本題に入るという。

「happy esports」にしても、この本にしても、魚を与えるのではなく、魚の釣り方を示しているわけで。

 

謎部えむ というか、釣り竿を作ってるんですよ。魚がいるかどうかはさておいて、釣り竿が足りませんね。

 

Jini 中々厳しいことを仰ってる一方、記事のために空気読んでろくろ回してくれてる。優しい。

eスポーツで求められるマーケティングとは何か
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個人ゲームメディア「ゲーマー日日新聞」でゲームの批評とか書いてます。何でも遊びますが、深いコクのあるゲームが大好物です。でも古い銃がたくさん出てくるゲームにはすぐ惚れます。

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