地球最強のプレイヤーと戦い続けたい――SonicFoxは戦いの先に何を見るのか

嫉妬したい、と彼は言う。

プロチーム「Echo Fox」に所属するアメリカの格闘ゲーマー、ドミニク・マクリーン――格闘ゲーマーたちには “SonicFox” や “ソニフォ” として知られている――は、弱冠21歳にして世界最大級の格闘ゲーム大会「EVO」で4度の優勝を経験している。

しかもその内訳が『Injustice: Gods Among Us』で1回、『Mortal Kombat X』で2回、『ドラゴンボール ファイターズ』で1回と様々なタイトルに渡っていることこそ、彼が「新時代の天才プレイヤー」と評される所以だ。

だが世界一の称号を何度手にしても、彼の目は曇ることなく上を向いている。「”こいつだけは絶対に倒してやる” と悔しさを感じながら戦いたいんだ。そのためだけに生きている」と語る彼は、EVOで優勝した時と同じように嬉しそうな表情を浮かべていた。

ドミニクが “世界最強” の名をほしいままにしてもなお戦い続ける理由は、一体どこにあるのだろうか?

プレイスタイルは「クソ野郎」

「ゲームにおいて俺は “クソ野郎(asshole)” なんだ。嫌がらせが上手いんだよ」と、ドミニクは嬉々として語る。

もちろん相手に対して失礼なプレイをしている訳ではない。プレッシャーを与え続け、相手の気持ちが折れるのを待つのだ。「相手がイライラしているのが分かったら――相手の感情が読めるようになったら、簡単に勝てるよ」

そんな彼が格闘ゲームに触れたのは、本人が覚えている限りでは3歳の頃だったそうだ。『鉄拳3』に触れ、その後も『デッド オア アライブ』『Mortal Kombat』などの格闘ゲームシリーズをプレイし続ける。

この頃の彼は勝ちにこだわっている訳ではなかった。目の前の対戦をこなし、己が技術を磨き続けていたが、プロゲーマーとして食っていけるとはとても思えなかったという。その気持ちは、2014年にEVOの『Injustice: Gods Among Us』で優勝しても変わることはなかった。

転機となったのは、2015年の『Mortal Kombat X』の発売だ。世界最大のeスポーツリーグ運営会社ESLが『Mortal Kombat X』のプロリーグ開催を発表し、同ゲームの開発元から多額の賞金も提供された。

「当時では最も高額な賞金だったから、競技シーンが一気に盛り上がったんだ。プロeスポーツチームも、継続的に格闘ゲーマーを抱えることに興味を持ち始めた。”もしかしたらこれで生きていけるかも” って思うのに十分な出来事だったよ」

プロゲーマーという生き方に希望を見出してからの道のりは、あまり覚えていないそうだ。「数年前の俺に言っても信じてもらえないかもしれないけど……なるようになったんだよ。何にもなかった自分が1本の電話を受けて、5日後にはプロゲーマーになっていた。本当に突然だったんだ」

プロになった一番のメリットは経済的な面だと正直に語るドミニクは、「ゲーム上でひたすら嫌な奴でいることでお金を稼げるっていうのは、不思議な気分だよ。俺はプロのクソ野郎になったんだ!」と冗談交じりに笑った。

ただ……と彼は続ける。「プロになったからって、他の人を馬鹿にするようなことは絶対にしない。俺らがプレイしているのは結局は “ゲーム” で、外から見たらみんな同じ “ゲーマー” だから」

悟空のように “強い奴” と戦い続ける

『Injustice: Gods Among Us』『Mortal Kombat X』などのアメリカ産の格闘ゲームで華々しい活躍を続けていたドミニクは、2018年のEVOにおいて『ドラゴンボール ファイターズ』(以下、DBFZ)部門にも出場した。

『DBFZ』は日本製のゲームということもあって、EVOにも数多の日本人プレイヤーが出場していた。

「今まで出て来た大会とは雰囲気が全然違っていた」と、ドミニクは当時の会場の様子を振り返る。「アメリカにいるはずなのに、日本人プレイヤーに囲まれてちょっと心細かった」とも漏らしたが、「自分が知らない強豪プレイヤーたちと戦えるのは、本当に楽しい」とあくまでもその環境を楽しんでいたようだ。

「日本人のプレイヤーは英語で配信している人が少ないから、大会で戦うことになっても、どんなキャラを使うのか、どういうプレイスタイルなのか全く分からない場合が多いんだ。でも少し戦っただけで “こいつは強い” と分かる。

自分が一度も戦ったことがない相手と対戦できるのは、怖い部分もあるけど、とても楽しい。もしかしたらその相手が俺を負かすんじゃないか、ってワクワクするんだ。まるで『ドラゴンボール』の悟空にでもなった気分だったよ。自分はいつも “地球最強のプレイヤーと戦いたい” と思っているから」

ドミニクは「世界中の強豪と戦うチャンスがある」こともプロになったことのメリットだと言う。「プロになってなかったら、GO1、どぐら、かずのこのような強豪プレイヤーたちと出会うことは絶対に無かった。これは、俺にとってはとても名誉なことなんだ」

戦いの先に彼が見据えるもの
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佐島 蒼太

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「ボストン育ち」とホラを吹き続けている編集者・ライター。好物は硬派なアクションゲーム。季節ごとにやってくるSteamセールが預金残高を削っていくことに頭を抱えている。

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