世界への道が大きく開けた『Call of Duty: Black Ops 4』シーズン。
国内では4度にわたり「CWL日本代表決定戦」や「JNQ」といった大会が開催され、その度に勝ち上がったチームが世界大会へ挑戦しました。また、3月にはオーストラリア最強のMindfreakを招待してのエキシビションマッチも行われました。
そんな中CYCLOPS athlete gaming(CAG)の選手たちも世界へ羽ばたきました。今年の夏、CWLアナハイムとCWLマイアミの2度にわたりオープン大会に出場し、どちらも33位タイ。着実にレベルアップを続けています。
チーム単位で見るとCAGが世界へ挑戦したのは今年が最初ですが、各選手で見ると、その歴史は1年前の2018年6月、日本人がはじめて世界大会に出場したときから始まっています。
あれから1年が経ち、世界大会に再び挑戦した選手たちは何を感じているのか。世界大会に複数回出場して何を得たのか。そして、世界に立ち向かう中で大きな力になっているコーチの存在とは。
気になるあれこれを聞いてきました。
——Nami選手、Ngt選手、Leisia選手は、1年ぶりの世界大会でしたね。
Nami 去年は、海外のチームと戦ってみても、日本に帰ってからどういう対策を組めば勝てるようになるのかが全くわからなかったんです。でも1年経った今回は、どうすればもっと上手くなるのかがよくわかった、っていう感覚がありますね。
Ngt 1年前は本当に、オープンブラケットの1回戦すら勝ち上がるのが難しかったんです。初戦からボコボコにされたり、がんばっても接戦くらい。でも今は、プロポイントの順位だけを見ても全体の半分より上くらいには入っていますし、単純に順位が下の人たちには勝てるようになってきています。100〜150チームくらいが集まるトーナメントで、同じ順位の相手に歯が立たなかったのが、今年は50位か40位のチームとも戦えているくらい。
Leisia だから去年ボコされた相手を、今の自分たちだったら倒せるくらいまでは成長できたのかなと思いますね。
Ngt 今年はアナハイムとマイアミの2回海外に行って、アナハイムはトップ16の上位チームがめちゃくちゃ強くて思いっきりボコされてしまったんですけど、マイアミは違いました。
マイアミのルーザーズで負けた相手(オーストラリアのVertex)とは、以前オンラインで戦ったことがあったんですけど、そのときのHARDPOINTはこっち側がホストで回線有利、相手が200pingの中なのに、わりと大差で負けていたんです。でもマイアミでオフラインで戦ってみたら150-250とか、そこそこ点数も取れて、内容的にも俺らがもう少しやれたら勝てるんじゃないかっていう内容だったんです。
アナハイムからマイアミだけでも、オープンブラケットのベスト16に近づけたんじゃないかって思いましたね。
——この1年の成長は結果にも現れていますが、昨年と比べると何が変わったんでしょうか?
Nami たぶん、日本の戦い方が、去年とかなり違うのが大きいです。
実は今年の4月くらいから、Nimbleっていうコーチの役割をしてくれる人がチームにいて。たまたま彼から 「どこか日本のチームのコーチになりたくて探している」って連絡が来て。
NimbleはオーストリアのVertexというチームで選手としても活動しているので、時間は限られているんですけど、彼から海外でどういう戦い方をすれば勝てるとか、海外ではこういう戦い方をしているよって、リアルな考え方を教えてもらっているんです。だから今は、海外の相手に負けても何をすればいいかが明確にわかるようになったんじゃないかなと思います。
——コーチがついていたのは驚きです。具体的には、どんなことを?
あべるんぜっと たとえば、CWLを一緒に見ながら、「これは参考にしていい」とか「今のはこいつがひとりで勝っているだけだから」って、違うチームの動きを解説してくれたり。
にこちゃん 自分たちの交流戦の動画をあとで一緒に見てもらって、「ここはああすれば良かった」「この動きが良かった」「この動きいらないね」みたいなのをひとつひとつ指摘してもらっています。あとは、「防衛を作るときにみんながこの位置についたら強いよ」みたいな、“セット”っていう戦い方を教えてもらったり、ですね。
Ngt Nimbleたちのチームがやっていることをそのまま教えてもらうこともあれば、単純に海外のCODeスポーツではあたりまえの知識を教えてもらうこともありました。
——Nimbleに言われたことで、印象的なことってありますか?
Leisia よく言われるのは、「個人が100%の力を出してる」って。
——100%??
Ngt そう。チームだから、ひとりが20%の力を出せばいいんですよ。みんなで合わせて100%なら、ひとりが100%の力を使って勝つ必要はないって言われました。
Nami すごく簡単に言うと、個人じゃなくてチームで動くってことです。今シーズンずっと追求してきたことですね。
にこちゃん 日本のチームは個人技に特化してきたので、個人で撃ち合いがちなんです。それに対して、海外では2人で1人の敵を撃つっていう連携をすでに練習していて、明らかに日本人が遅れていました。
そこで教えてもらったのが「チムシュー」(チームシューティング)です。配信でもよく言ってたら、いろんなところで流行ってしまって(笑)。たぶん、そういう複数で動くっていう動き方自体が、まだ誰もやっていなくて、俺らが最初やったと思います。
——たしかに、Mindfreakが来た3月末くらいから、そのワードをかなり多く聞くようになった気がします。
Ngt ちょうどそのあたりですね。「チムシュー!チムシュー!」って(笑)。
単純なところで言うと、SEARCH&DESTROYでも、残り2人とか3人になったときに、個人技ばかりで勝負しようとして、味方がバラバラな位置にいることがよくありました。だから、1人が削られて、またひとり、っていう感じで、少人数戦でほとんど負けていたんですよ。
今は“一緒に動く”ってことが徹底できているので、少人数戦で勝てるようになってきましたし、勝率もかなり上がりました。
にこちゃん 今だから言えますが、Nimbleが入ってきてすぐの頃は、変化が大きすぎて、調子が悪くなってひどかった時期もあったんです。Nimbleに教えてもらったことが多かったからか、頭がこんがらがって、みんなの意識がバラバラになってしまって……。
Ngt 個々人が今まで考えていたことよりも、本当に違う考え方や知識が一気に入ってきたので、混乱がありましたね。
その場でその通りに動く人と、自分で考えて動く人とが出てきてしまって、みんなの動きが狂ったりもするし。教えてもらったことを忠実にやりすぎて、その状況でやるべきではない行動なのに、やってしまったり。
今はこれをやるべき、やるべきじゃないっていう感覚が、ズレていたので、それを修正するためにやったのが合宿です。
CoD部門がゲーミングハウスで合宿中。
練習はもちろん、反省会なども顔を見て話し合えるのはやっぱり良いですね!
今週末のONLINE QUALIFIERSに向けて、CAG精進です💪@_prqr@ngtyki@ABERNz_ @Lesq_ @Nami105a #CAGWIN #CAG_esports #CODBO4 pic.twitter.com/gIvLFl6yBf— CYCLOPS athlete gaming (@CYCLOPS_OSAKA) May 27, 2019
Ngt ちょうどその合宿のあとくらいに、チームとして、IGLはにこちゃんだ!ってバシッと決まったんですよね。それまでふわっとやっていたんですが、「チームにIGLは必要だ」ってなって。
にこちゃん やっぱりIGLがいないと、みんなが意見を出し合って「どれの意見にしたらええんや〜」って迷って、噛み合わなくなってしまうんですよ。だからIGLの人が「じゃあこうしよう!」って方向性を出して、それを軸にみんなが動くっていう流れができると、綺麗にハマるんです。
だから、作戦を立てたり、どういう動きをするのかも、だいたい俺が決めていますね。
でも、どちらかというと昔から、ひとりで集中してあまり喋らずにボソボソとやるプレイヤーだったんですよ。
今年からは必然的に、自分がIGLの役割なんだって意識的に考えてやっている感じです。俺忙しいっす、ずっと喋ってますよ……。
——たとえばICRを持つような後ろの選手がIGLをやる選択肢もあるのかなと思うのですが?
Ngt 一時期あったよね? にこちゃんが前線のプレイヤーで、前は忙しいからって。
にこちゃん 前にいると忙しくて、周りのことを全部見切れないので、「だれかIGL変わって〜」って言ってた時期はありました。
Ngt 後ろのほうが状況がわかるからっていうのはずっと言われていたんですけど、俺は前の人がやりたいことのほうが重要だと思っているんですよ。だからIGLは前の人間にお願いしたいと思って任せました。
Nami 俺も、途中から入ってきたし、むしろ以前いたチームと全然色が違うので、もう全て任せてますね。
Ngt 言い合いになることもたまにありますが、にこちゃんが「こうしたい」って言ったら基本は決定で、逆に、にこちゃんがOKと言えば俺らの意見でいくこともあるっていう。
にこちゃん たまにくるうけどね。2つの意見が重なりました、さてどうしよう?!みたいな。
——チームでの話し合いは、だいたい何時間くらいやっているんですか?
Ngt 基本1時間は取るよね。
にこちゃん 3〜4時間みんなで話して、1〜2時間プレーするみたいなこともあれば、逆に30分くらいで話を済ませて、ただひたすらプレーするみたいなダメな日もありますね。サーチはどっちかというと、今はたくさんプレーすべきだと思うけど。
——サーチは、第4回大会でも完成度が高いように見えました。
にこちゃん もともとHARDPOINTを重点的に練習していたせいか、他の2つのモードの未熟さが第3回で出てしまって。第3回が終わってからはSEARCH&DESTOROYを中心に練習していたら、思っていた以上に上手くなったんです。
今はまた、HARDPOINTがメインです。HARDPOINTは、より強くなるために新しいことを取り入れようとすると、逆に弱体化するっていう流れが続いているんです。
Ngt 頑張っているマップが不安定になって、逆にあまり重点的には練習していなかったマップがなぜか良くなるっていう現象が、わりとシーズン通して起こるんですよね。
たぶん、考えれば考えすぎるほど、みんなの考え方が変になっていくというか、だめなんだよ。だから一旦リセットして取り組もうとすると良くなるっていう。
にこちゃん 俺ら、まだまだ連携面が未完成なんだよな、きっと。
——そうなんですね。。
にこちゃん だから、練習すればするほど良くなるわけではないんですよ。練習していたら逆にチームとして弱くなってしまうこともあって、でもそこからさらに練習して良くなって、また悪くなって、良くなって……の繰り返しがずっと続くんだと思います。
Leisia 結局、シーズンを通して、得意マップと苦手マップがどんどん変わっていくよね。
Ngt Nimbleが言っていたのは、考えれば考えるほどズレるものだって。『CoD』っていうゲームは、状況次第でいくらでも変わるゲームだから、やればやるほど良くなるっていう単純なゲームではないと。
もちろん試合中には1対1の個々の撃ち合いを行わないといけない場面が絶対に起こるんですけど、CWLで個人能力ではそこまで負けていないなと感じました。でも、それだけで勝てないってことは、やっぱり個人能力よりもチームでの連携が大事なんだよな。
にこちゃん 個人技だけでは限界があるって、海外に行ってわかったんです。だから、知識と判断力をつけることができれば、もっと強くなれるなって思います。
——では最後に、いよいよ8月10日(土)は、今シーズン最後の大会「日本最強決定戦」です。
にこちゃん 最後はさ、Libalentを倒して、優勝して、賞金をもらいましょう! だよね!
Ngt これまでの優勝は全部取られてしまったので、最後は優勝して、気持ちよくシーズンを終わりたいですね。
あべるんぜっと やっぱり、主人公って最初に負けるものなんすよ……。
にこちゃん 今まで負けてきたのは、ドラマを作るためだからね!(笑)。だって、全部Libalentが勝つとか、つまんないじゃん。。。
——ちなみにLibalentって、みなさんにとってどんな存在ですか?
にこちゃん 友達!(笑)
——(笑)
Leisia やっぱりちょっとムカつきますね。俺はサーチでAliceをSRでボコボコにしてやりたいです。
にこちゃん あべかんも、やってやるよな?
あべるんぜっと うん。
にこちゃん まあ、仲良いやつらなんですけど、それを踏まえても最後くらいは負かしてやりたいなと思います。真面目な話をすると、Namiちゃんの武器を変更したことでチームの動きも全体的に変わっているし、前回の大会と違ってSMG強化のアプデも入っているので、環境も違いますからね。
——期待しています!
8月10日(土)に開催される「日本最強決定戦」は、以下の組み合わせで4チームがぶつかり合います。今シーズンを締めくくる大会を、お見逃しなく!
(配信チャンネル Youtube/Twitch)
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