戦う選手の姿に魅了!「日本eスポーツリーグ 2016 Winter」会場レポート

プロゲーマーの追っかけ出身である女性ライターのスイニャンがeスポーツ観戦に関するさまざまな情報やコラムを不定期でお伝えします

勢いよく拳を突き上げる勝者と、静かに首を垂れる敗者。さまざまな競技シーンでよく見られる光景ですが、オンラインで開催されることの多いeスポーツ大会では、そんな選手たちの様子が見られるチャンスはまだまだ少ないのが現状です。ところが、その数少ないチャンスがついにやってきました!「日本eスポーツリーグ 2016 Winter」の決勝戦が、オフラインで開催されたのです。

私も選手たちの雄姿を拝むべく、会場を訪れてみました。

今回は、スイニャンの「eスポーツ観ようよ」連載第一弾として、会場レポートをお届けします。

 

練習を積んだ選手たちの熱き戦い

オンラインリーグ戦で5週にわたって戦ってきた6チームのなかから、成績の良かった2チームが2017年1月22日(日)に東京アニメ・声優専門学校で決勝戦を戦います。見事出場権を得たのはサイクロプス大阪と東京ヴェルディ。大会ゲームタイトルはサッカーゲームの『FIFA 17』、格闘ゲームの『BLAZBLUE CENTRALFICTION』、そしてFPSと呼ばれる1人称視点のシューティングゲーム『Overwatch』の3つです。

『FIFA 17』は家庭用ゲーム機のコントローラー、『BLAZBLUE CENTRALFICTION』はレバーとボタンのついたアーケードコントローラー、『Overwatch』はパソコンのマウスとキーボード

ゲームジャンルも使用するコントローラーも異なる3タイトルですが、共通しているのは「フィジカルスポーツ」と「マインドスポーツ」の両方の要素を持っているということ。ゲーム内のキャラクターを思い通りに動かすためには相当な操作量が必要で、試合を有利に進めるためには判断力も重要です。そういった動きや判断を、瞬時に的確にこなさなければなりません。これには長い練習期間が必須であり、監督やコーチの力添えも必要です。それから見た目には分かりにくいかもしれませんが、対戦では「読み合い」という要素があります。相手の動きを見て対策したり、相手の裏をかいて行動してみたり、選手たちはそういったことを常に考えながらプレイしているのです。

普段はテレビ番組のナレーションや声優として活躍する呉圭崇さん

総合司会の呉圭崇さんの合図により、決勝戦は13時に開幕。日本eスポーツ協会の平方彰さんによるご挨拶と、日本eスポーツリーグオフィシャルサポーターの矢口真里さんによるビデオメッセージのあと、試合がスタートしました。

平方彰さん「2チームの健闘を祈りつつ、今日は十分楽しみましょう」
矢口真里さん「それぞれのチームのファンの皆さん、ぜひ熱い声援を!」

ドラマチックな逆転劇が生まれた『FIFA 17』

観戦はサッカーの試合を見るのと何ら変わりはありませんから、試合内容についてはとても分かりやすいと思います。実在のサッカー選手がモチーフになっているので、海外サッカーが好きな方はさらに楽しめるでしょう。ゲーム内時間は実際の時間より早く進むので、決着は一般のサッカー競技より早くつきます。しかし一番大きな特徴は、1人の選手が11人のキャラクターを動かさなければならない点でしょう。選択中のキャラクター以外は自動で動きますが、その間は実在の選手のプレイの特徴に合った動きをするようになっているので、それらの特徴を覚えておくことが大切です。

試合の模様を伝えてくれるのは実況の岡崎裕史さんと解説のjengamanさん

試合前に短いインタビューが行われ、黒いキャップを深めにかぶった東京ヴェルディのKen選手は「自分のやることに集中して頑張りたい」と抱負を語りました。対するサイクロプス大阪の黒豆選手は「最後まで負けなしでいきたい」という目標を掲げ、「勝ってチームに勢いをつけたい」とコメント。笑顔を見せつつも、緊張感が伝わってきます。

東京ヴェルディのKen選手

試合は2戦行い、合計得点で勝敗が決定します。1戦目は黒豆選手がバイエルン・ミュンヘン、Ken選手がレアル・マドリードを選択。開始直後からKen選手の猛攻が始まり、21分Ken選手が先制点を獲得します。しかし黒豆選手が追いつき1-1で後半戦へ。再びKen選手が得点を上げてそのままいくかに見えましたが、選手交代を経た黒豆選手のシュートが炸裂!同点から一気に逆転に持ち込み、最終的に4-2で黒豆選手が1戦目を制しました。

2戦目は黒豆選手がユベントス、Ken選手がマンチェスター・シティを選択。前半は0-0のまま折り返し、後半戦へ突入。77分に右下にゴールを決めてからは、完全に黒豆選手のペースに。最終的に3-0で試合は終了し、合計得点7-2で黒豆選手の勝利となりました。

サイクロプス大阪の黒豆選手

試合終了後のインタビューでKen選手は、「最初押せていると思ったがカウンターが怖かった」と率直な感想を述べ、黒豆選手は「シュートには行けていたので普通にやれば逆転できると思った、焦りはなかった」と笑顔で語りました。

激しい接戦を繰り広げた『BLAZBLUE CENTRALFICTION』

先ほどのサッカーと違って、実際の格闘技を観戦するのとは少し勝手が違います。こちらは、いわゆるゲームセンターにある格闘系のゲームを後ろからのぞくような感じが観戦のイメージ。格闘ゲームのなかでも2Dと呼ばれる奥行きのないタイプで、有名なのはおそらく『Street Fighter』シリーズになるでしょう。このゲームは『Street Fighter Ⅴ』に比べると、攻撃力が強くコンボが長いことが大きな特徴になっています。コンボをしてゲージを貯めていきつつ、Dボタンを押して特殊スキルを使えるようにしていくことが大切なポイントです。

実況のなかおさんと解説のたけやまさんが分かりにくい部分も解説してくれます

試合前のインタビューで東京ヴェルディのソウジ選手は、「前回同様勝ちたい」と対戦成績でリードしていることに言及。これに対しサイクロプス大阪のどぐら選手は、「前回負けてから対策をしてきたのでやれることはやった」と応戦。試合前から火花飛び散る両選手に、ワクワクせずにはいられません。

東京ヴェルディのソウジ選手

試合は2ラウンド先取で1セット、先に10セット取ったほうが勝利となります。サイクロプス大阪のどぐら選手がAZRAEL、東京ヴェルディのソウジ選手がARAKUNEを選択。1位通過のサイクロプス大阪が1セットリードした状態で試合がスタートします。開始早々、激しい攻撃のぶつかり合いで1セットずつ取った両選手でしたが、

しかし、どぐら選手が烙印発動にも動じないプレイを見せ3セット目を取ると、もはや勢いに乗ったAZRAELが止まらない!どぐら選手がリードを一気に6セットまで広げます。その後は一進一退の攻防が続きましたが、最後は怒涛の攻撃を決めたどぐら選手が勝利。最終スコアは10-7となりました。

サイクロプス大阪のどぐら選手

試合終了後のインタビューでは、「最初にリードされたのが気持ち的に辛かった」というソウジ選手に対し、「リードしているほうが焦る」と答えたどぐら選手。互いに極度の精神状態のなかで戦っていたことがうかがえる発言でした。

鮮やかな連携プレイの連続『Overwatch』

こちらは観戦する側にもある程度のゲーム知識が要求されるため、3種目のなかでは観戦が一番難しいと言われています。6人1チームで対戦するFPSですが、アルティメットと呼ばれる特殊スキルがあるのが最大の特徴といえるでしょう。また戦況に合わせて使用するキャラクターを随時変更することができるのも、このゲームの面白いところです。チームゲームなのでもちろん連携プレイが非常に大切な要素になりますが、1人称視点である分、合わせるのが非常に難しいと言われています。個人の能力もさることながら、チームの連携が大きなキーポイントと言えるでしょう。

試合展開が早いので解説は必須です!実況の象先輩さんと解説のぜるにゃんさん

選手が6名ずついるため、試合前のインタビューは各チームのリーダーが答えます。東京ヴェルディのVader選手は、「これまで1本も落とすことなく勝ってきたので今日も全勝したい」と自信満々に語りました。対するサイクロプス大阪のRyoya選手は、「敗戦から学んだことを生かして練習してきた」とこちらも準備は万端の様子。両チームのプライドをかけた戦いが始まります!

サイクロプス大阪

試合は4戦目まではエスコートまたはハイブリッドでの対戦で、タイブレークの場合は「Nepal」でBo1、5戦目までいった場合は「Ilios」でのBo3となります。両チームが1マップずつ除外し、オンラインリーグ戦1位通過のサイクロプス大阪がマップ順序を決定します。1戦目はエスコートの「Drado」に決定。攻撃チームは「ペイロード」と呼ばれる車両を時間内に目的地点まで運べれば勝利、防衛チームはこれを阻止できれば勝利です。まずは東京ヴェルディが序盤からアルティメットをきっちり当て続け素早く目的地点に到達したのに対し、サイクロプス大阪は第1チェックポイントに到達する前に時間切れ。東京ヴェルディが1戦目を制しました。

東京ヴェルディ

続く2戦目はハイブリッドの「Hollywood」。攻撃チームはキャプチャーポイントを制圧して「ペイロード」獲得し目的地へ、防衛チームはこれを阻止しなければなりません。東京ヴェルディは素晴らしい集団戦で相手チームの選手を次々と倒し、目的地点まで到着。サイクロプス大阪もオーバータイムまで持ち込んだものの、決めきることができぬまま惜しくも終了。2戦目も東京ヴェルディが取ることに成功しました。3戦目はハイブリッドの「King’s Row」。まず東京ヴェルディは、残り時間0:29で目的地点に到達。そしてサイクロプス大阪の攻撃になっても東京ヴェルディの勢いがすさまじい!最終的に「ペイロード」を獲得させぬまま時間が終了し、3-0で東京ヴェルディが勝利しました。

試合終了後のインタビューでサイクロプス大阪のRyoya選手は、「コミュニケーションがいつもより取れていなかった」と言い、これを今後の課題と考えているとのこと。対する東京ヴェルディのVader選手は、「決めていた作戦どおりの動きができた」と穏やかな表情で試合の感想を述べていました。

表彰式

 

試合は大きなトラブルや遅延もなく、無事終了。最後に表彰式が行われ、eスポーツコミュニケーションズの筧誠一郎さんの挨拶で大会は閉幕しました。

筧誠一郎さん「日本eスポーツリーグ 2017 Summerを5月から7月に開催します」

余談ですが、試合のインターバルのときにここのサイトのことが紹介されました!みなさんに愛されるサイトになるよう、私も少しでもお力添えできればと思っています。

 

大会を観戦して…

インフィニティ大阪のフェンリっち選手

ひとつだけ、ちょっと残念だなと思ったことを記しておこうと思います。オンラインでは各種目において5戦全勝という快挙が成し遂げられましたが、チーム対抗戦であるがゆえに『BLAZBLUE CENTRALFICTION』で全勝したインフィニティ大阪所属のフェンリっち選手は、決勝戦に出場することができませんでした。次のシーズンも発表されて今から楽しみではありますが、オンラインリーグ戦で強かった人がきちんと決勝戦のステージに立てるようなリーグ方式になってくれたらもっと嬉しいなと思います。

ヴェルディ君

とはいえ、実際に選手たちの姿が見られたのは本当に良かったです。オンラインのときも選手の生の声を届けるなど工夫されてはいましたが、戦っている選手たちの真剣な表情はとても魅力的なものです。個人的には、サイクロプス大阪のどぐら選手のここぞというときの強さとインタビューでの明るい話し方がとても印象に残っています。また、東京ヴェルディのマスコットキャラクター・ヴェルディ君も、とても良い味を出していて可愛かったです。強い選手でもよし、面白い特徴のある選手でもよし、ルックスの良い選手でもよし、みなさんもお気に入りの選手を見つけて観戦してみるのはいかがでしょうか。

総合優勝を果たしたサイクロプス大阪

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韓国在住経験5年。在韓中の2006年ごろeスポーツと出会い、StarCraft: Brood Warプロゲーマーの追っかけとなる。帰国後2009年ごろからさまざまなWEBメディアで取材・執筆活動を行うほか、語学力を活かして韓国人プレイヤーのインタビュー通訳・翻訳や国際大会の日本代表団引率通訳などの活動も行っている。自らはゲームをほとんどプレイせず、おもにプロゲーマーの試合を楽しむ観戦勢。

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